10代女性のPMSや月経困難症 我慢せずネットで相談

月経中などに心身の不調を感じる若い女性向けの情報提供が増えている。アプリを使って医師に気軽に相談できるサービスや、動画やイラストを使って基本知識や対処法をわかりやすく説明するウェブサイトなどが登場している。月経前症候群(PMS)や月経困難症を経験する10代は少なくない。若者がアクセスしやすい手段を使いながら、専門家は必要に応じて産婦人科などの受診をすすめている。

「産婦人科オンライン」に寄せられる若い女性からの相談は増えている=キッズパブリック提供

「月経痛がひどく、痛み止めが効かない」「ピルに興味があるが副作用が心配だ」――。ネットを利用した遠隔健康医療相談サービスを手がけるキッズパブリック(東京・千代田)の「産婦人科オンライン」には10代を中心とした若い女性からの相談が増えている。

相談は事前予約制で、対話アプリ「LINE」や電話などを通じて登録している医師が受ける。契約先の企業や自治体などが利用料を払い、社員や住民は原則、無料で利用できる。医療行為ではないため診断や薬の処方はしないが、月経困難症やPMSが疑われる場合には産婦人科の受診をすすめ、低用量ピルなどの選択肢も紹介している。

PMSは、月経前にイライラやのぼせ、不安などを感じる。月経中に下腹部の強い痛みなどを伴う月経困難症などとともに、月経に関するトラブルの主なものだ。

同オンラインを始めて約1年半。最近は若い女性からのPMSや月経痛などに関する相談が増えている。現在は月経に関する相談が、同オンラインに寄せられる相談全体の約1割を占める。同オンライン代表の重見大介医師は「サービスの認知度が上がり、普段から月経痛などの悩みを持っていた若い人からの相談も増えてきたのかもしれない」と話す。

中高生向けに直接、情報提供をすすめる活動も活発だ。NPO法人のピルコン(東京都日野市)は、中学や高校での講演活動やウェブサイトでの情報発信に取り組んでいる。

のべ3万人の中高生を前に講演してきた染矢明日香理事長は「月経に関する悩みをもつ中高生は少なくない」と感じている。講演会の事前のアンケートでは約20%が月経に関する悩みがあると回答するという。

ピルコンは、ウェブサイトで月経や妊娠、性感染症など様々なトピックについてイラストや動画を交えて正確に説明。産婦人科医などが監修する教材作りのほか、助産師のユーチューバーとも協力、妊娠や性教育などに関するイベントなども開催している。

月経困難症などを放置したり自己判断で対処したりすると、大きな病気につながる可能性がある。

思春期の子どもの電話相談を受け付けている日本家族計画協会市谷クリニックの北村邦夫所長は「月経痛を痛み止めなどを服用するだけで放置していると、子宮内膜が腹膜や卵巣などで増えてしまう子宮内膜症などを発症することもある」と指摘する。

痛みの主な原因は子宮の収縮だが、思春期は子宮が発育途上で、月経痛への不安を感じやすいことなども関係している可能性があるという。

産婦人科を受診することに抵抗を感じる10代は少なくないが、自己流で対処し続けるのはリスクも伴う。北村所長は「ピルなどを服用すれば月経に伴う痛みや心身の不調を和らげ、子宮内膜症のリスクを低減させる効果も期待できる」という。

最近は、月経中だけでなく、月経前の不調を訴える人も多い。「医師に相談し、PMSと分かって生活習慣などを改善するだけでも効果があることがある」(キッズパブリックの重見医師)。思春期外来など10代が受診しやすい医療機関も増えてきた。ピルコンの染矢理事長は「頼れるかかりつけ医をみつけてみよう」と呼びかける。

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中高生の8割、生活に影響

スポーツ庁の委託事業「子供の体力向上課題対策プロジェクト」でNPO法人日本子宮内膜症啓発会議が千葉県の約600人を対象に実施した2016年のアンケートでは、月経に関して女子中高生の約80%が「勉強や運動に影響する体の不調がある」と答えた。71%に月経痛、34%に月経前の心身の不調があった。

相談相手には65%が保護者を挙げた一方で、29%は「相談しない」と回答した。悩みを抱えたまま我慢している生徒が一定数いるとみられる。

対処法への理解も十分進んでいない。ピルコンが16年に実施した約4千人を対象にしたアンケートでは、「低用量ピルには月経痛や月経不順の改善の効果がある」ことを知っている高校生は約19%にとどまった。「月経痛がひどいが、痛み止めを使わず我慢している」と打ち明ける生徒もいた。ピルの服用に興味があっても親から反対される生徒もいるという。月経やピルについて話しやすい環境づくりを学校や家庭で進めることが欠かせない。

(スレヴィン大浜華)

[日本経済新聞夕刊2020年4月22日付]

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