弁当を見栄えよく 詰める位置固定、一品料理もお薦め
休校により、子供の昼食を用意する家庭は多い。朝、弁当を作っておくと日中自由な時間が増える。家事ジャーナリストの山田亮さんが弁当を手軽に見栄えよくつくるためのヒントをお届けする。
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娘の中学高校時代、計6年間弁当を作った。正直にいって、弁当づくりは苦手だ。何が苦手かというと、箱に詰める作業。皿に盛り付けるのとは勝手が違う。皿は外に向かって広がるが、弁当は箱の中で完結させないといけない。だから重箱に詰めるおせち料理も苦手だ。こういうタイプの人は割といるのではないか。
そこで考えたいのが、おかずやごはんの盛り付けの位置を固定することだ。各家庭の考えやそのときの食材によって数は変わるが、例えば、主食のほか、メーン、副菜1、副菜2の4区分を定番とする。これで「どう詰めるか」で頭を悩ます時間を減らせるかもしれない。
冷凍品など使い 朝の調理1品に
もちろん、すべてを朝手作りするとかなり大変だ。そこで、冷凍食材と前日晩の残りもの、朝新たにつくるものの3つの組み合わせを基本にしてみたらいかがだろう。朝料理するのが1種類だけなら、少し気が楽になるはずだ。
娘の弁当はメーンだけは毎日変えた。副菜1は作り置きの定番メニュー、副菜2はお決まりの卵焼きやキャベツソテーといった具合だ。メーンが前日晩の残りや冷凍食品であっても、日替わりで変化をつければマンネリ感は十分解消できると思う。
詰める作業を考えなくていい一品弁当もおすすめだ。例えば、オムライスや焼きそば、チャーハン。箱全面に入れられ、配置を考えずにすむ。野菜や肉をたくさん入れられたら、栄養面も悪くない。
困るのが隙間だ。弁当を傾けた時に中身が寄ってしまう原因になる。どうしても気になる場合は、巻き料理を入れてみてはどうだろう。肉巻きや春巻き、卵焼きなどは細長いので隙間にぴったり入りやすく、重宝する。
やはり弁当といえどもバランスは考えたい。彩りには気を使った。色の多さは食材の種類の多さにつながり、栄養面からも都合がいい。意識したいのは4色だ。赤や黄色、オレンジ色などカラフルに見せる食材を常備しておくと便利だ。プチトマトなどヘタを取って洗えばすぐに使える食材のほか、カボチャやコーンなど下処理が要らない冷凍食材も豊富なので、どんどん活用したい。
緑も欠かせない。野菜嫌いの子に食べさせるのは大変だが、枝豆は好き嫌いが少ない野菜の1つではないか。肉じゃがに枝豆を少しのせるだけで色合いがグッとよくなるのでおすすめだ。仕切りのバランの代わりとして活躍するのがフリルレタス。バランは弁当箱に残るが、レタスなら食べられる。
これからさらに暖かくなり、雑菌繁殖が気になる時期が来る。食べ終わった後、汁などがついたバランが残ったままだとにおう可能性がある。弁当箱が空になれば、雑菌を抑えやすいことを覚えておこう。
頑張りすぎ禁物 ピンチ考え準備
しかしなんといっても、頑張りすぎないことが大切だ。最初は娘から「キャラ弁」のリクエストが来たらどうしようかと思っていた。だが、娘とのやりとりで中学生の間でキャラ弁が盛り上がらないことが判明した。作る側が良かれと思っても、不要なこともある。やりすぎはお互いの負担になるだけだ。
体調の悪い日や寝過ごす日もある。ピンチのための準備は必要だ。冷凍をチンするだけのオムライスは重宝した。冷凍たこ焼きを温めて並べたことも、前日晩の炊き込みごはんに頼った日もあった。ごはんの上にのせただけで完成するサケ弁やのり弁でもいい、と気分を切り替えたい。
小学校の遠足や運動会に持っていく弁当は、娘に詰めさせた。用意したおかずのなかから、好きなものを選ぶバイキング形式だ。中学生になると毎朝ギリギリの登校でその余裕がなくなったが、小さな子供には楽しめ、親も楽できるかもしれない。
弁当を作るたびにほぼ欠かさず写真を撮った。それをスライドショーにして眺めていると、長いようで短かった子育ての記録にもなっていると実感する。今、しんどいなと思って作っている弁当も、いつか懐かしい記憶になるときがくると思う。
(家事ジャーナリスト 山田 亮)
[NIKKEIプラス1 2020年4月18日付]
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