パソコン使い過ぎで指関節に痛み 早めのケアが大事

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パソコンなどで手を使い過ぎ、指の関節の痛みを経験する人は少なくない。痛みや腫れを放置すると、数年後に変形して戻らなくなることもある。変形性指関節症と呼ばれ、早めの予防と治療が欠かせない。

「ただの突き指と思って放置していたが、数カ月たっても関節の腫れが治らない」。東京都内の45歳の女性が整形外科を受診すると、変形性指関節症と診断された。

この疾病は、まず関節内でクッションの役割をしている軟骨がすり減り関節に負担がかかり、腫れや痛みが生じる。進行すると、骨のトゲ(骨棘(こつきょく))ができ強い痛みが出る。さらに放置すると骨の一部が削れ、次第に関節が膨らんだり曲がったりして変形する。

指の第一関節に症状が出るものは「へバーデン結節」、第二関節なら「ブシャール結節」と呼ばれる。親指の付け根に起こるものは「母指CM関節症」と分類される。

変形性指関節症は加齢とともに増え、40代以降に多い。パソコンのキーボードを強くたたくなど指先の酷使が要因の一つとなり、突き指などのケガの放置がきっかけになることもある。家族にこの疾病がある場合も発症しやすいという。

変形して症状が固定するまでには1~10年かかる。変形した骨は治らず、関節を曲げづらくなくなることも。昭和大学医学部整形外科学講座(東京・品川)の久保和俊講師は「日ごろの予防で発症させないことと、早めの治療で症状の悪化を抑えることが大切」と指摘する。

発症や進行を防ぐには、まずは関節に負担がかかるような指の使い方をしないこと。指先でモノを強くつまむ動作や、キーボードを強くたたくことは控えた方がいい。多少の痛みがあっても、つい使いがちだが、痛みがある時は指を休ませることが重要だ。

「指の関節は、握ったり開いたりする方向の力には比較的強いが、左右の横方向やひねりの力に弱い」(久保講師)。そうした力を軽減するため、痛みなどの症状がある場合は、テーピングで関節を固定する方法が有効になる。

「薄めのテープを症状のある関節の両側に貼り、その上から関節部分にテープを2周ほど巻く」(久保講師)。親指の付け根の関節は手の奥まったところにあってテーピングが難しいため、サポーターで固定する。

久保講師は「もともと関節が硬い人は関節への負担が大きくなりやすいので、指関節のストレッチをするのも一手」と助言する。ハンドクリームなどで保湿しながら、マッサージするのも効果的だ。

また、変形性指関節症の発症には女性ホルモンが関係していると考えられている。女性ホルモンが減る授乳期や更年期以降に症状を訴える人が多い。手外科専門医で四谷メディカルキューブ(東京・千代田)の平瀬雄一医師は、女性ホルモンが影響している場合は「個人差があるものの女性ホルモンと似た働きをするエクオールという成分のサプリメントが発症や症状、進行を抑える例がある」と語る。

一般的な治療では、消炎鎮痛剤の貼り薬や塗り薬、飲み薬で痛みを抑える。それでも痛みがある場合にはステロイド剤を関節に注射する方法もある。ただし「症状が進行した人ほど注射の効きは悪く、痛みが再発する傾向がある」(久保講師)という。日常生活に支障があるような痛みや変形があれば、関節固定術などの手術も選択肢になる。

「変形性指関節症は、手が専門の医師に診断や治療をしてもらうのが望ましい」と平瀬医師は提案する。日本手外科学会のホームページには、専門医と所属医療機関のリストが掲載されているので参考にするといい。

(ライター 武田 京子)

[NIKKEIプラス1 2020年4月18日付]

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