循環社会構築を
プラスチックは1950年代に本格的に利用され始めてまだ70年ほどだが、地球環境に大きく影響を及ぼしている。一方で、そのリサイクルなども取り組まれてきた。堅達京子・NHK BS1スペシャル取材班著『脱プラスチックへの挑戦』(山と渓谷社・20年)は、プラスチックのリサイクルビジネスや世界における循環経済に向けた動きを多くの取材に基づき臨場感を持って紹介しながら、この問題への市民の認識が、同じ化石燃料である石油の利用から発した地球温暖化と類似することを指摘し、問題解決に向けたパラダイムシフトの必要性を説く。
より具体的なプラスチックの循環利用の技術、代替物としてのバイオプラスチック、紙素材などを高田秀重監修『プラスチックの現実と未来へのアイデア』(東京書籍・19年)は紹介しており、特に日本では廃プラを燃やして熱エネルギーに変えるリサイクルの割合が高いこともあって、これが二酸化炭素(CO2)排出につながることを説いて、国や企業、市民の一人ひとりが認識を高め、使い捨てプラスチックを削減したライフスタイルへの変革を訴えている。そのポスト・プラスチック社会のあり方の議論は今後の企業や個人の取り組みにとって大いに参考になる。
[日本経済新聞朝刊 2020年4月11日付]