洗濯機のカビ・汚れ撃退 武器は酸素系漂白剤とお湯
洗濯機の汚れをどうやって掃除すればいいか、頭を悩ませている人は多いだろう。縦型洗濯機を中心に、手に入りやすいもので掃除する方法を専門家に聞いた。
「一番汚れているのは洗濯槽の裏側。分解してみると、カビ汚れがびっしりついている場合が多い」。こう指摘するのは、「おそうじ本舗」を手がけるHITOWAライフパートナー(東京・港)グループ、くらしスタイル研究所の尾崎真所長だ。
洗濯機には衣類について持ち込まれた皮脂や食べこぼしのほか、ホコリ、せっけんカスなどがたまる。
尾崎さんは「内部は湿度が高いので、これらの汚れをエサにしてカビが発生しやすい環境ができる」と説明する。特に「洗濯物に黒いカスのような汚れが付いてきたり、いやな臭いがしたりする場合は要注意」という。
酸素系漂白剤 45~50度の湯に
洗濯槽洗いなどの機能がついた機種もあるが、そうではない洗濯機を使っている人もいるだろう。尾崎さんに、家庭でできる洗濯槽の洗浄方法を教わった。用意するのは、過炭酸ナトリウムを主成分とする粉タイプの酸素系漂白剤。まず、45~50度程度のお湯を注ぐ。洗濯槽全体をお湯につけ、汚れを緩めるためだ。
10分ほど放置した後、酸素系漂白剤を500~600グラムほど注ぐ。「漂白剤に含まれる過炭酸ナトリウムとお湯が反応することで泡立つ。この発泡力によって汚れがはがれやすくなる」(尾崎さん)
続いて、洗剤を全体に行き渡らせるために「洗い」モードで15分ほど洗濯機を回した後、排水が始まる前に一旦停止。そのまま1~2時間放置して汚れをふやかす。この間に洗濯槽のふちや洗剤投入口などを歯ブラシでこすれば、一緒に汚れを洗い流すことができる。その後、「すすぎ」モードで再び洗濯機を回すと、黒っぽいカスが水の中に浮いてくる。これが洗濯槽の裏側の汚れだ。
浮いてきた汚れをすくい取るのに便利なのが「ハンガーネット」。針金ハンガーを伸ばして、古くなったストッキングをかぶせて作る。汚れをすくい取ったら、一度脱水。全工程モードで再度洗濯機を回し、さらに出てきた汚れをすくい取り、汚れが出なくなるまで繰り返す。
2年に1回は専門業者に依頼
汚れがひどい場合は、専門業者にクリーニングを依頼することも考えたい。尾崎さんは「家庭での洗浄の目安は2カ月に1回。それでも汚れがたまっていくので、2年に1回は専門業者に頼むのがベスト」とアドバイスする。
取り外せる洗剤ケースや糸くずフィルターも、定期的に洗浄し、せっけんカスや水汚れをためないことが重要だ。ぬるま湯ですすぎ、残った汚れは、歯ブラシで落とす。それでも落とせない場合は浴室用洗剤を使うと効果的だ。
ドラム式洗濯機がある家もある。ドラム式の場合、洗濯槽を満水にできない。このため、縦型と同じように漂白剤などを使った洗浄方法をとれない。洗濯機本体に付いている洗浄・乾燥機能を使うのがおすすめだ。
洗濯機周りの掃除にも気をつけたい。ほこりがたまりやすい洗濯機の下や裏側の掃除にも、ハンガーネットが使える。「針金ハンガーは簡単に形を変えられるので隙間掃除に便利。ストッキングで静電気を起こすことでホコリが取れやすくなる」(尾崎さん)
洗濯機を清潔に保つために普段から習慣づけたいポイントもある。
汚れ物はランドリーバスケットに入れるなどして、洗濯機の中に放置するのは避けたい。尾崎さんは「洗いたいものをため込むと、汚れと湿気で細菌やカビが繁殖しやすい環境になってしまう」と注意を促す。ランドリーバスケットは折りたためるものを選べば、使わないときは場所を取らない。
さらに、「靴下や子どもの衣服など泥汚れが付いたものは、洗濯機で洗う前に予洗いをしたほうがいい」(尾崎さん)。細菌が含まれやすい土を洗濯機内に持ち込むのを防ぐためだ。
また、湿気がこもらないようにフタは常に開けておく。ドラム式は子どもが中に入ってしまうこともあるため、柵を置くなどの工夫をするとよい。尾崎さんは「水を使う場所はとにかく換気が重要。風通しをよくして湿気を逃がすことが、カビや汚れの防止につながる」と強調する。
(ライター 李 香)
[NIKKEIプラス1 2020年4月11日付]
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