「病の源」ホコリ掃除の技 スクイージーで効率的に
家の中でいつのまにかたまっているホコリ。ウイルスをはじめ、花粉やダニ、カビがホコリに付着し、体内に入ると体調不良の一因になる。ホコリを効率的に除去する方法を聞いた。
どれだけ掃除をしてもなくならないホコリ。布団や衣服、紙などから出た繊維のクズのほか、土や砂、毛髪などがまざったものだ。
家の中に生じた小さなホコリはくしゃみやせきの原因になる。さらに浮遊したり、蓄積したりするうちに「不調を引き起こす可能性のある『病原ホコリ』になる」
病院や介護施設などで環境衛生について指導するプラナ(東京・千代田)社長、松本忠男さんはこう指摘する。
拡散を防ぐため 換気は掃除後に
木造で風通しがよかった昔の家に比べ、現代の住宅は高気密で温度や湿度が高い。ホコリに付いたダニやカビが増殖しやすい環境だ。春先は窓を開ければ花粉も入り込む。
なかでも今はウイルスが気になる人が多いだろう。「ウイルスは感染させる力がある間は粒子の大きいホコリに付き、除去するまで家の中を漂う」(松本さん)。こうした病原ホコリが口や鼻から入ると、体調不良を引き起こすおそれがある。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐには、換気が重要とされる。窓を開けて外気を取り入れると、室内に温度差が生じる。温かい空気は上昇し、冷たい空気は下降する。この気流に乗ってホコリは壁の上部につくほか、壁伝いに落ちる。できれば掃除を終えてから換気したい。
「ホコリは気流や湿度、静電気の影響で部屋の一定の場所に集まる」と松本さん。家全体を掃除するのは大変だが、たまりやすい場所を特定し、効率的に掃除することはできる。
使う道具は、ホコリを吸着しやすい化学繊維のはたきやモップ、使い捨てのドライシートなど。松本さんは窓掃除に使うスクイージーもすすめる。100円ショップなどで買えるものを用意し、「ゴムの部分をハサミで5ミリ間隔に切ると、ホコリが切り込みにつく」という。マイクロファイバーのクロスも効果的だ。
ホコリが集まる場所として、室内全般に共通するのが壁の高い位置だ。壁面だけでなく、背の高い本棚や収納のほか、壁掛け時計など凹凸がある場所にもホコリはたまる。手が届く範囲はスクイージーで、届かないところは柄の長いはたきを使い、ホコリを飛ばさないようにそっと取り除く。
高いところから落ちるホコリは壁際から10~15センチぐらいまでの床にたまりやすい。吹き出し口の近くに大小の気流が発生するエアコンは、真下の部分にホコリが落ちる。こうした部分はドライシートを取り付けたモップを使うとよい。
上り下りする階段。狭いため風の速度が上がってホコリが運ばれやすく、風が吹くたびに上へ、下へと舞う。うまく取り除くには、上の段から一段ごとにスクイージーをぴったり当てる。階段の隅から一方向にゆっくり引いてみよう。
トイレは重要なポイントとなる。狭いうえに衣類を脱ぎ着したり、トイレットペーパーの繊維が出たりとホコリがたまりやすい。ホコリがあると大腸菌などの細菌が増えやすいという調査もある。「ビニールの手袋などをして、壁や床のホコリをスクイージーで取り除くとよい」(松本さん)。水がはねると掃除しにくくなるので、便器より先に壁、床の順でしっかりホコリを取り除こう。
寝室は布団からのホコリがたまりやすい場所だ。壁や床のホコリを取るだけではない。布団はバサッとめくらずロール状に巻くなど、そっと扱ってホコリが出ないように気をつけたい。
掃除機や水拭き 習慣を見直して
普段の掃除習慣も見直してみよう。掃除機はカーペットに押しつけると繊維の奥にホコリが入り込む。軽く乗せてゆっくり引いて吸引する。フローリングにはスクイージーやドライシートを使った方がホコリを舞い上げない。雑巾がけも要注意。ぬれた布でホコリがついたところを拭くと、塗り広げることになってしまう。水拭きはホコリを取り除いてからがおすすめだ。
家の中のホコリは地道に減らさない限り、増え続ける。効率的に取り除き、快適に過ごせるようにしたい。
(畑中麻里)
[NIKKEIプラス1 2020年3月21日付]
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