新型コロナで外出自粛 不要不急の目安は生活の必要性

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企業ではテレワーク拡充の動きが目立つ。国内の全社員約3800人の原則在宅勤務に踏み切った三菱商事。「社としての事業や各部門の業務の継続に必要な場合に限り、出社や出張を認めている」(担当者)。支払いが滞ったり契約の履行に影響が出るケースが該当し、所属長が事案ごとに要否を判断する。

大和証券は全社員約9600人に株式売買に対応した端末を配布し、4月から導入予定だったテレワーク制度を1カ月前倒しした。電子化していない保険商品の契約書の受け取りや、会社にしかないハイスペック端末を使う取引は「出社やむなし」だという。

損保ジャパン日本興亜も国内約2万6千人の全社員に2月末からテレワークを推奨。営業職や顧客対応部門の社員は出社組とテレワーク組に分け、交代制で対応する。出社組は店頭の窓口対応やコールセンターの顧客対応などを担当し、テレワーク組が提案資料作りなど自宅でもできる業務を受け持つ。

総合人材サービスのパーソルP&Tは4月末までテレワーク導入を急ぐ企業に業務管理ツールを無償で提供する。同社ワークスイッチ事業部のゼネラルマネジャーで総務省が企業に派遣する「テレワークマネージャー」としても活動する成瀬岳人さんは「機密情報の扱いや重要書類への押印など出社がやむを得ない業務もある」と指摘する。

インフラ系企業のシステム障害などのトラブル対応は緊急性も必要性も高い。「特に担当者が複数のプロジェクトでは、迅速に結論を出すため対面の議論の意味がある」(成瀬さん)というわけだ。

報告中心の会議などで少なくとも「対面」の必要性の乏しさを改めて感じた人も多いだろう。成瀬さんは「感染拡大でテレワークを導入した企業から『在宅勤務でも意外と仕事は回るな』という声も届いている」と話す。

新型コロナウイルスの影響で多くの人が日常生活に不自由を感じているが、これを機に在宅でもできる仕事を徹底的に洗い出せば、働き方改革の一助になるかもしれない。

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大雪・SARS…過去にも要請

大雪が首都圏を襲った際も「不要不急」の外出を控えるよう国が要請した(2018年1月、東京都豊島区)

過去にも政府などが「不要不急の外出を控えて」と呼び掛けた事例がある。2018年1月に首都圏を大雪が襲った際は国土交通省が要請。同年9月の台風21号では、首相官邸が短文投稿サイト「ツイッター」の災害情報発信アカウントを通じて注意喚起した。03年に重症急性呼吸器症候群(SARS)が大流行した際は、外務省が感染が広がっていた中国の地域について「不要不急の渡航は延期を勧める」と発表した。

近畿大学病院感染対策室の吉田耕一郎教授は「過去の事例よりも今回は判断が難しい」と指摘。「台風や海外への渡航制限と違って外出を長期間控えなければならず、我慢が必要」と話す。

(宇都宮想)

[NIKKEIプラス1 2020年3月14日付]

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