非常時にサラミやカルパス おやつにも、だしにも管理栄養士 今泉マユ子

2020/3/10

今回の新型コロナウイルスの感染拡大のような状況だと、頻繁な外出や買い物は難しくなる。こんなとき、意外な食材が重宝する。

一例がサラミやカルパスだ。スーパーやコンビニ、駅の売店に並ぶ「酒のつまみ」のイメージが強いが、実は時短料理にも非常時にも便利なお助け食材なのだ。

市販のギョーザの皮にチーズとカルパスをのせ、両端から包んで水で留めてから、アルミホイルに並べてトースターで2~3分焼いてみよう。おやつにもおつまみにもなる「カルパス包み焼き」が簡単に出来上がる。

スライスしたサラミをピザにのせるのは定番の使い方だ。味噌汁やスープに入れると、よいだしが出る。パスタやチャーハンに加えれば、香りも歯ごたえもいつもとは違う出来栄えになる。サラダに使うのもおすすめだ。ジャガイモとサラミを細切りにして炒めるとやみつきになるおいしさだ。

サラミとカルパスは見た目がよく似ている。違いは分かるだろうか。サラミの原材料は豚肉と牛肉で、カルパスはさらに鶏肉が加わる。最近は鶏肉が入っているサラミも売られている。

サラミはイタリアが発祥で、加熱せずに乾燥熟成させ、なおかつ水分量が35%以下という基準をクリアしたドライソーセージのことだ。カルパスはロシア生まれで、加熱した後に乾燥熟成させ、水分量55%以下の基準を満たすセミドライソーセージを指す。

カルパスはサラミと比べて軟らかいので、そのまま食べることを想定して一口サイズの個包装になっている商品が多い。サラミは薄く切って使うことが多い。両方ともたんぱく質や亜鉛、鉄分、脂質などの栄養素を含んでいる。常温で保存できるので、備蓄しておくと災害時の栄養補給に役立つ。ただし、塩分が多く含まれているので食べ過ぎには注意が必要だ。

山形県ではお茶の時間に、お菓子とお漬物に加えてサラミが出てくるという。物流が発達していなかった時代、内陸部ではつくだ煮や乾物といった日持ちのするものが好まれ、保存食として重宝されたサラミやカルパスがお茶の時間にも親しまれたとのことだ。山形県内のスーパーでは今でも、他の地域とは比べものにならないほど数多くの種類のサラミ、カルパスが売られていると聞く。

お酒のお供やおやつにするだけではもったいないサラミやカルパス。自由な外出がままならない時こそ、普段は料理に使わない食材を試して目先を変えてみよう。きっとよい気分転換になるはずだ。

今泉マユ子(いまいずみ・まゆこ)
1969年生まれ。管理栄養士として企業の社員食堂、病院や保育園に勤務。缶詰やレトルト食品を使った時短レシピのアレンジのほか、防災食アドバイザーとしても活躍。

[日本経済新聞夕刊2020年3月10日付]

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