社外から人材かき集める 「1人1仕事」で支店躍進
あいおいニッセイ同和損害保険社長 金杉恭三氏(上)
人材発掘は続く。あいおいニッセイ同和損保のセミナーに参加する管理職候補の女性とその上司ら(東京都世田谷区の研修所)
本社の営業推進部で課長代理をしており、経験を生かそうと理想を抱いて赴任しました。ところが立川支店は社員が4人程度しかいません。シェアも低い調子の悪い店でした。火災保険や自動車保険の販売を担う銀行、自動車販売店など有力代理店は他社が押さえており、落胆しました。
どうにかしたいと思い、目をつけたのが、代理店候補の人材に支店で働いてもらう研修生制度です。当時はバブル崩壊直後で景気も良くなく、不動産などの商売ができなくなった人がたくさんいました。こうした人に、まず支店で働いてほしいとあちこちで声をかけました。大量に採用して20人以上にし、徹底的に営業をかけてもらいました。
かなすぎ・やすぞう 79年(昭54年)早大政経卒、大東京火災海上保険(現あいおいニッセイ同和損害保険)入社。12年取締役、16年から現職。東京都出身。
社員は研修生を統率しつつ、自力で営業しました。損保でままある「代理店任せ」にしませんでした。
心がけていたのは「1つのことをやれ」と伝えることです。複数のことを同時にやらせようとしても、うまくいきません。ある社員は流通業に、別の社員は自動車整備工場などの「モーター代理店」の開拓に専念して成果を出しました。
当時は保険料などが横並びで、熱心な営業が功を奏したようです。シェアは4年連続で上昇し、最終的には社内トップの実績をあげました。
支店長として実績をあげたのに、ラインの長ではない主査です。「何かやったのか」と同僚に冷やかされて人事担当役員に会うと「特命だ。骨は拾ってやる」と言われました。保険料率が自由化され、収益悪化が見込まれていました。賃下げに伴う組合への対応を任されたのです。