春の祝い事に創作ちらし寿司 8色の食材で豊かな彩り
錦糸卵や刺し身をのせてつくるちらし寿司(ずし)。誕生日や来客時の食卓にうってつけ。具材をどう選べば見た目に楽しく、華やかになるか。ポイントをまとめた。
教えてくれるのは川澄飾り巻き寿司協会(神奈川県横浜市)の会長、川澄健さん。ゴッホの名画「ひまわり」を注文され、花の部分にサーモンなどの刺し身、茎にキュウリを使って表現するちらし寿司を作ることもある。
川澄さんは「ちらし寿司は元々、地元でとれた野菜や魚介で作った日持ちのよい寿司。一度にたくさん作れるため、人が集まる席で出されていた」。それが「ハレの日用に、玉子焼や梅人参、桜デンブなどで飾り付けられるようになった」という。
いざ作るとなると、具材選びや飾り方が難しいと悩む人もいるだろう。川澄さんは「好きな食材を思うままに盛り込めばよい」とアドバイスする。楽しくカラフルにするなら「赤、ピンク、オレンジ、黄色、緑、茶、黒、白の8色は値段が手ごろで身近な食材でそろえられ、だいたいの表現ができる」(川澄さん)。
例えば、赤色はマグロやイクラなどの海鮮ばかりをそろえるのが難しければ、しば漬けや紅ショウガを使ってもよい。オレンジはニンジンの甘煮、黄色は刻んだたくあん、緑はアオノリ、白はゴマ、黒は赤しそふりかけなど使い慣れた食材で十分。ピンクは桜デンブが甘すぎるならネギトロに変えたり、茶色はかんぴょうや油揚げの煮物が苦手なら鶏そぼろにしたり、好きな食材を選べばよい。
ポイントは食欲をそそる食材を目立つように並べること。それだけで彩り豊かな我が家のちらし寿司ができる。
刺し身のサク バラの花に
まずは、すし飯の準備。飾り付けの土台になる部分だ。合わせ酢を混ぜただけのシンプルなすし飯でも、シイタケやかんぴょうなどの甘煮を混ぜ込んだ五目すしでもよい。
「シャリは寿司屋の要」と、川澄さんが示したすし飯のコツは3つ。1つ目は炊飯器で炊くなら、炊きたてを使うこと。「炊き立ての熱いときが一番、酢が浸透する。蒸らす前の水分が残ったご飯は酢を混ぜ込むと粘りが出てしまうので、鍋で炊く場合は必ず20分間、蒸らす時間をとって欲しい」(川澄さん)
2つ目は普通の白米を炊くときより、やや水を減らす。炊飯器にすし飯用の機能があれば利用しよう。3つ目は合わせ酢を加えたら切るように2分程度で混ぜ終えること。
次は飾りの準備。意外と簡単でパッと華やぐ刺し身のバラと、刺し身に映えるキュウリの飾り切りを教わった。
バラは刺し身のサクを、長さ7~8センチで横2センチ厚さ2~3ミリ程度にそぎ切りにする。切り口がきれいな長い辺を花びらの上側にして、下の根元部分を絞り、外側にさらに1、2枚巻きつけていく。
サクは、ドリップや脂分が出るので切る前にキッチンペーペーでよく拭く。切り始めは包丁を斜めに入れる。スジの少ないサクを選ぶと、薄切りにしても身崩れしにくい。切り落とした部分は細かく刻んですし飯に混ぜて使おう。
巻くときのポイントは、下の根元部分を絞り、上部は外側に反らして巻くこと。中心の芯は小さめに。大きなバラにするなら外側に2枚、小さいバラなら1枚を巻く。飾る直前まで冷やしておこう。
写真映え抜群 グラスに重ねたカップ寿司
キュウリの飾り切りはごく薄切りにして扇のように広げる細工なら簡単だ。
近年は写真映えすると「ケーキのようにデコレーションしたケーキ寿司が、こどもの日や誕生日などに食べられている」(ミツカンの赤野裕文さん)という。グラスにすし飯と卵などを重ねて作るカップ寿司も断面がきれいで喜ばれそう。ちらし寿司を創意工夫で気軽に楽しもう。
(ライター 松野 玲子)
[NIKKEIプラス1 2020年2月29日付を再構成]
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