検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

子の口唇口蓋裂、悩まないで 手術で外見も問題なく

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

口唇口蓋裂は赤ちゃんの上唇や上顎が分かれた状態で生まれる病気だ。裂けた部分を縫い合わせるのが基本で、出生後すぐに治療を始めて何度か手術をする。大人になったときに外見からほとんど分からない程度まで治る。妊娠中の胎児の超音波検査などで病気が分かる例も増えており、専門の治療センターの整備も進む。「きちんと治るので深刻に捉えないでほしい」と専門家は口をそろえる。

口唇口蓋裂は体の表面に起こる先天性疾患で、日本では約500人に1人と比較的高い割合で発生する。唇は妊娠8週頃、上顎は12週頃に組織がくっついてできあがる。何らかの原因でうまくくっつかなった場合に口唇口蓋裂になる。

関連する遺伝子の報告はあるが全体の仕組みは未解明だ。「多くは原因不明で、たまたま発生したと考えられる」と大阪大学歯学部付属病院の口唇裂・口蓋裂・口腔(こうくう)顔面成育治療センター長を務める古郷幹彦教授は説明する。ただ親や兄弟姉妹が口唇口蓋裂だと発生頻度は約50人に1人になる。心臓病などを合併することもある。

口唇口蓋裂は出生前診断の対象ではないが、妊婦が通常受ける超音波検査で判明することがある。愛知学院大学口唇口蓋裂センターの夏目長門教授(特定非営利活動法人日本口唇口蓋裂協会常務理事)は「ショックを受け、責任を感じてしまう妊婦も多い。子供の父親や祖父母も含め、正しい知識を身につけてもらうことが大切だ」と強調する。

口唇口蓋裂の発生と妊婦の生活様式などは関係がないこと、長期の治療が必要だがきちんと治ることなどを理解してもらうのが柱だ。夏目教授らは口唇口蓋裂に関するビデオ映像を作り、産婦人科医院などに配布しているほか、電話相談なども受け付けている。

阪大では近隣の産婦人科医院などと連携し、出生直後に専門の歯科医を派遣している。病気のことを理解して退院後に歯学部病院を受診してもらうためだ。

大阪府在住の上河内綾子さんは、2年前の第3子の出産時に「お口にキズがあるけれど、元気な赤ちゃんです」と告げられた。「元気なら」と特に落ち込むことはなかった。夫も普通の態度だったが「内心はびっくりしていた」と後日打ち明けてくれたという。まず転院した近くの総合病院で合併症の有無を調べてもらうとともに、ミルクの飲ませ方などを習った。阪大のスタッフも来てくれた。

退院後に阪大を受診。古郷教授に「この子のことをかわいそうと言ったらあかんで」「(病気と)長い付き合いになるが乗り切れる」と励まされた。上河内さんは「必要以上に悩むことはない」と割り切れたという。今は経過観察も含め阪大に月1回程度通うとともに、口唇口蓋裂の子を持つ親の参考になればとSNS(交流サイト)などで親子の日常を発信している。

口唇口蓋裂は口唇裂と口蓋裂を合わせた文言だ。口唇裂は唇が裂けている状態で、症状は上唇にくびれがある程度から、歯茎まで割れて鼻も大きく変形している場合まで様々だ。割れているのが片側だけでなく両側の場合もある。口蓋裂は口の中で上顎が割れている状態で、口と鼻を隔てられていない。口唇裂と口蓋裂を併せ持つケースもある。

出生後すぐに直面するのが、ミルクがうまく飲めなかったり吸う力が弱かったりすることだ。弱い力でも吸いやすい乳首を付けた哺乳瓶を使ったり、離れた口蓋を塞ぐための「ホッツ床」と呼ぶ補助装置を口の中に付けたりする。こうすることで自分の力でミルクを飲めるようになる。

見た目の障害を治す手術は生後3カ月頃、体重5キログラムを超えた頃から始める。口唇裂の子供の唇を閉じる手術をする。口蓋裂を持つ子供は1~1歳半頃に上顎を閉じる手術をする。口唇裂で口蓋裂でもある場合は両方とも手術する。

言葉を覚えるようになったら発音に問題がないかどうかチェックする。口蓋裂の子供では手術をしてもパ行、カ行、サ行、タ行などがうまく発音できない例がある。言語聴覚士が評価し、必要に応じて訓練を受けてもらう。追加の手術をすべきかどうかも判断する。

乳歯が永久歯に変わったら歯並びやかみ合わせも整える。歯科医が評価し必要に応じて手術や歯科矯正をする。口蓋裂では中耳炎になりやすいので注意する。

見た目を治す手術は成長に合わせて追加する。鼻の変形が目立つ場合は成長が止まってから実施する。上顎を前に出し「受け口」を治す手術なども含め、高校を卒業する18歳頃までに修正を終えるのが一般的だ。

「生まれてから5~6回手術する例もあるが、他人からほとんど分からないまでに治せる」(古郷教授)。ただ本人が引け目を感じたり必要以上に気にしたりする場合もあるので、周囲の寄り添う姿勢が大切だ。

◇  ◇  ◇

再生医療で鼻の形改善 国に承認申請

東京大学の星和人教授らは富士ソフトと協力し、口唇口蓋裂で生まれつき口と鼻が正常に形作られない患者に対する再生医療の研究開発を進めている。患者は幼少期の手術で鼻の形もだいたい落ち着くが、成長に伴い再度アンバランスが生じることもあるからだ。

通常、鼻にある軟骨の一部を使い形を整える。この手術が難しい場合、骨盤の骨の一部を切り出して移植する手法などで対応する。だが鼻がかみにくい、軽い衝撃で骨折しやすいなどの課題がある。

東大は患者の耳から約5ミリメートル角の軟骨を採取し、効率よく増やす手法を開発。増殖を促す物質や増殖時の足場となる材料を工夫し、人体と同じような軟骨組織を作った。患者の鼻に移植する臨床研究では「鼻の先端が丸みを帯び、左右の差がある患者の鼻の形を改善できた」(星教授)。臨床試験(治験)も実施し、経過は順調という。

国に製造販売承認申請をしており、認められれば「素早く実用化したい」(富士ソフト)考えだ。

(長谷川章)

[日本経済新聞朝刊2020年2月24日付]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_