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地域の医療、今のままで大丈夫? 進まない病院再編

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高齢化や人口減少で地域の病院の役割の見直しが必要だが、再編統合が進んでいない。厚生労働省は再編統合が必要な全国400余りの病院のリストを公表する"劇薬"で議論を促そうとしたが、「地域医療を崩壊させるのか」など強い反発を受けた。一方、「このままでは共倒れになる」と危機感を抱き、大規模な再編に取り組んでいる地域もある。地域住民の理解を得られるかがカギとなる。

「苦渋の決断だったが、病院の集約は絶対に必要だ」。山形県米沢市で市立病院との再編を進めている三友堂病院の仁科盛之理事長は振り返る。民間病院と公立病院という設置主体の枠を超えた再編は全国でも異例だ。

130年余の歴史がある三友堂病院は米沢市立病院から2キロメートルほど離れている。2023年の開業をめざし、現在の市立病院の敷地にそれぞれ新たな病棟を建設し、一体的に運営する。

決断の決め手は高齢化と人口減少だった。米沢市は近隣の2市5町とともに1つの医療圏となっている。この医療圏の人口は現在20万人程度だが、25年には19万人を下回り、その後も減少していく。米沢市の人口が8万人を割り込むのも時間の問題で、75歳未満の人口減少が急激に進むと見込まれた。

75歳未満の人口が減ると、手術など「急性期」の医療の需要が減る。市立病院と三友堂病院はいずれも急性期の医療を提供するが、少なくなる患者を奪い合っていては共倒れになる恐れがあった。

同じ医療圏には、公立置賜総合病院(同県川西町)もある。同じく再編統合を経て急性期医療を担っているが、米沢市内からは冬場は車で40分要する。データを分析すると、米沢市の救急患者が市外の病院に入院するケースは1割程度。米沢市立病院の渡辺孝男・病院事業管理者は「市内で急性期医療を提供できる病院が生き残る必要がある」と判断。16年に近くの三友堂病院に再編を呼びかけたという。

再編では、三友堂病院が急性期の機能や医療従事者を市立病院に受け渡す。三友堂病院は高齢者などが治療を受けた後に自宅に戻るための医療やリハビリを施す「回復期」を中心に据えた。高齢化で回復期の医療が必要になる患者は増えるため、それぞれの役割を分担して共存する。

再編後は市立病院と三友堂病院が隣接し、地域住民になじみがある「三友堂」の名前を残す。ベッド数は三友堂が185床、市立が322床で合計507床だが、開業後は合わせて470床程度にする方向だ。

市立病院には20年ほど前は常勤の医師が50人いたが、今は37人。市立病院の大串雅俊院長は「患者が減って医師も減っていった。このままでは救急医療を担えないとの危機感があった」と明かす。

回復期に力を入れることで必要な医師数が減る三友堂病院から約20人の医師を受け入れて急性期医療を充実させる。さらに大学病院から派遣される医師も増やしたい考えだ。

こうした対応は全国の各地で必要になっている。

政府は各都道府県に対し、高齢化や人口減少から25年に必要なベッド数を推計した「地域医療構想」を策定させている。推計では、全国で急性期ベッドは18年の56万9千床から40万1千床に減らし、回復期ベッドは17万1千床から37万5千床に増やすことが必要となる見込みだ。

ところが、この必要量に基づいて各地が18年度までに話し合って決めた今後の対応方針を集計すると、急性期ベッドは25年に55万5千床までしか減らない見通しとなった。回復期も19万2千床までしか増えない。各地は急性期ベッドの縮小や転換の必要性を認めながらも、自ら身を切る改革には踏み出せていない現状がうかがえる。

このため厚労省は昨年9月、再編統合に向けた検討が必要な全国424の公立病院などのリストを公表。ところが自治体や医療関係者が「地域医療が崩壊する」「リストを撤回してもらいたい」などと強く反発、現場は混乱した。

その裏で、再編統合に向けた機運は徐々に高まっている。厚労省は20年度予算案に、ベッドを1割以上減らせば補助金を出すという「減反」色の強い支援策として84億円を用意。地域の議論に直接関与する「重点支援区域」の募集を始め、5地域から応募があった。

課題は地域からの理解をどう得るかだ。公立病院の再編では首長もキーパーソンになる。地域によっては人口減少で医療体制を縮小すべきなのに、ベッド数や急性期の機能を強化する方向で議論が進むケースもある。住民に医療体制の見直しの方向性を理解してもらうことがカギになる。

公立病院と民間病院の枠を超えた再編が進んでいる山形県米沢市では、市長がまとめようと尽力した。三友堂病院の移転に反対する住民はいるが、三友堂病院の仁科理事長は「地域の不安のない医療を提供するために、市民への説明は必ず必要だ」と話している。

◇  ◇  ◇

診療実績や人口 データ示し議論

医療体制の見直しに向けて各地で開く会議では議論の活性化が課題となっている。山形県の会議のアドバイザーを務める山形大院医学系研究科の村上正泰教授は「突っ込んだ議論になりにくい」と指摘する。

会議は主に地域の各病院の代表者が集まって話し合うことになるが、ベッド数やベッドの機能は経営の根幹部分でもあり、本音が出にくい。村上教授は「会議以外の講演会や勉強会で診療実績や人口動態をもとにしたデータを示し、関係者に共通認識を持ってもらうことが大事」と話す。

例えば救急搬送で入院する患者の将来推計をみると、米沢市を含む医療圏で増加が見込まれるのは肺炎など一部の領域に限られ、それ以外は減っていく。こうしたデータを示すと「医療関係者が日ごろ感じていることを目に見えて理解できる」(村上教授)。今後の地域医療の方向性もおのずと浮かぶという。

(新井惇太郎)

[日本経済新聞朝刊2020年2月17日付]

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