色選びで高貴なたたずまい 十二単を着てみた

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十二単の着装を体験する大貫恭子さん(京都市中京区)=遠藤 宏撮影
十二単の着装を体験する大貫恭子さん(京都市中京区)=遠藤 宏撮影

天皇陛下の即位の礼で、皇后さまの十二単(ひとえ)姿が目に焼き付いた人も多いのでは。ひな祭りで飾るおひなさまの女びなも十二単だ。実際に着ることができると聞き、体験してみた。

十二単とは何か。一般財団法人、民族衣裳文化普及協会(東京・中央)で、理事の武田富枝さんが「平安時代からの女房装束。位の高い女性が着ていた」と教えてくれた。即位の礼に際し、装束の着付け指導をした元宮内庁京都事務所の岡本和彦さんによれば、十二単は俗称で、平安後期の正式名称は「五衣唐衣裳(いつつぎぬからぎぬも)」。遣唐使廃止で日本独自の文化が発展する中で確立した装いだという。

いざ体験。京都市のNPO法人「衣紋道 雅ゆき」を訪れると、会社員の大貫恭子さん(25)が体験中だった。大貫さんの周囲だけタイムスリップ。「動きは制限されるが、自分のたたずまいが変わる」と大貫さん。雅ゆきの村田絢加さんは「令和の始まりもあり、この一年、体験者が増えている」。写真を年賀状にする人も多かったそうだ。

記者が試したのはベーシックな「かぐや姫プラン」(税別1万5千円)。メークや着付け込みだが、かつらは別。

まず下着ともいわれる小袖を着て鏡の前に。「ここからは何もせず、姫は身を委ねてください」と村田さん。姫と呼ばれ、いい気分。前後二人がかりで着装してくれる。

最初に身に着けるのは長袴(ながばかま)=(1)。足が通らない袴だ。「(足の通る)切り袴は外出用。屋内では引きずるように歩いた」(村田さん)とか。地面に足が付かないのは違和感がある。

次は単(ひとえ)=(2)。一番下になるため、ほかの衣に隠れないよう最も長く仕立ててある。五衣(いつつぎぬ)=(3)=は5枚の衣を1枚ずつ重ねていく。3枚目あたりで急に重くなり、腰にずっしりと響く。村田さんに「高貴な重みですね」と言われ、気を引き締める。

素早い動きで着付けが進んでいくが、使うひもは2本のみ。衣をひもで締めたら次の衣を着て、もう1本のひもで締める。そして下のひもを抜く。この繰り返し。一枚一枚締めているわけではないので、圧迫感は意外に強くない。

5枚の衣を着ると胸元に赤やピンクなど美しいグラデーションが現れた。「かさね色目」と呼ぶそうだ。それぞれ呼び名があり、記者の場合は「紅梅」。村田さんによれば「梅の色が変わっていく様を表している。当時は『こういう色合わせなんて何と知識のある方なの』と色で個性を出していた」という。「上手な色選びが美人の条件。顔より大事だった」(武田さん)

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