米国での内視鏡販売、「邪道」批判乗り越え新手法
オリンパス社長 竹内康雄氏(上)
オリンパスは内視鏡分野に力を入れている
■オリンパスで経理担当だった竹内康雄社長は1993年、米国に赴任する。
入社14年目で2度目の赴任となりました。上司も部下3人も米国人です。1度目の時に、日本からの連絡はいつも私が取り次いでいたので、仕事を覚えるのには苦労しなかったですね。誰もいなくなったオフィスで、山積みの書類をFAXで送るような雑務もこなしていましたから。
93年当時、米国法人は逆風にさらされていました。その年に就任したビル・クリントン大統領が医療費削減を打ち出し、病院による医療機器の買い控えが起きたのです。当社の内視鏡事業も、60年代に米国市場に参入してから初めて売り上げが前年割れしました。
■使った分だけ課金する新たな販売モデルを導入する。
たけうち・やすお 80年(昭55年)中大商卒、オリンパス光学工業(現オリンパス)入社。12年取締役。16年副社長。19年4月から現職。東京都出身
販売立て直しに頭を悩ませていたある日、部下から提案がありました。「内視鏡をリース(貸与)し、症例数に応じて課金してはどうか」というのです。病院ごとに契約年数を決め、その間の内視鏡検査の件数を予測して検査当たりの単価を決める。そして、そこに実際の検査数を掛け算した金額を払ってもらう。症例単価課金と呼ぶ方法です。
病院にとっては、検査数が減って収入が落ちた年はその分機器のコストを抑えられます。初期投資なしに最新機種を導入できるのも利点です。