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エーザイの加藤雅人さん

エーザイの加藤雅人さん

製薬大手のエーザイが一般向け医薬品の営業で小売店への提案を強化している。ドラッグストアに並ぶ商品は多様で、自社の医薬品だけが売れればいいという発想では小売店や消費者を満足させられない。セルフケア営業本部・第1営業部の加藤雅人マネージャー(40)はデータを駆使しつつ、現場にもこだわった提案で売り上げを伸ばす。

「この店で販売数が増えている。きっと何かあるはずだ」。加藤さんはドラッグストアのPOS(販売時点情報管理)データの細かな動きを見逃さない。

注目していたのは、2019年に20年ぶりに刷新したエーザイの薬用スキンケア商品「ザーネ クリーム」の動向だ。販売量が他店よりも多い店に出向いては、現場をくまなく見て回る。「現場にはヒントになる何かがある」との信念があるからだ。

その日訪れた店舗で気づいたのは、来客が商品を試すテスターの減り具合の多さだ。「店頭で試した人は、その場で気に入って購入している」との感触を得た加藤さん。店内のどの場所に商品が並んでいたか、競合との位置関係はどうだったかなどを記録し、他店舗への営業提案に反映させる。効果的な施策を広く「水平展開」させるのだ。

新たな客層開拓

ザーネは19年に発売65周年を迎えた長寿ブランド。しっとりとなめらかな使い心地が特徴で、手だけでなく首や肘、膝、かかとなど全身に使える。50~60代の固定客に支えられる一方、30~40代の新たな客層の開拓に力を入れる。

今回の刷新で商品の変更ポイントはまず、香りをマイルドに抑えたことだ。香水やシャンプーなどの残り香を邪魔をしないことで、30~40代の女性層を増やす狙いがある。容器の外観も若い層を意識したデザインを取り入れた。100グラム入りのジャータイプと、48グラム入りのチューブタイプをそろえた。

「ザーネはこれまで目立った販促をしてこなかった」。入社以来、一般向け医薬品の営業を担当してきた加藤さんは苦笑する。固定ファンが付いていることに安住してきたともいえる。だが今回の刷新を機に客層を広げるためには新たなPRが欠かせない。

「どうしたら商品の良さを知ってもらえるか」。加藤さんは原点に回帰し、まずは「店頭で手に取ってもらい、試用機会を増やすこと」に全力を傾けた。その目玉となったのが店舗用に新たに用意した展示用のつり下げ器具だ。

店内の陳列棚など、様々な場所に掛けられるハンガー型の展示器具だ。そこにチューブタイプの製品を挿入し、目立つところに試用品を置いてもらう。「持ち運びに便利で、どこでもさっと使える大きさであることを知ってもらう」。通りかかった来客の目に付きやすい場所に掛けて、試用を促す。

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