子どもの近視悪化を防げ 就寝中レンズ、目薬の治験も

国内では、治療用目薬の臨床試験(治験)も進む。シンガポールや香港では子どもの近視の進行を抑制する効果が認められている目薬だが、進行抑制のメカニズムはまだ分かっておらず、人によって効果にばらつきがあるという。このため、安全性や効果を日本でも確かめていく。日本近視学会の理事長でもある大野センター長は「いろいろな治療手段を使えるようにすることで、国内で多くの子どもに対応できるようにしたい」と話す。

年3回は眼科受診を

最新手法とならんで重要なのは、基本的な取り組みの徹底だ。

子どもの視力障害の治療などを専門とする平和眼科(東京・豊島)の富田香院長は「子どもでは早期発見が大切という認識を持つとよい」と話す。遠くが見えにくいことで、生活習慣や発達に影響が出ることもあるため、適切な時期に矯正などのケアを始めることが大切だ。

幼児の視力の異変には気づきにくい場合もあるが、最近では近視や遠視、乱視、斜視を判定できるスクリーニング機器も出てきていて、小児科や眼科が取り入れ始めているという。富田院長は「3歳児健診や小児科の受診から発見につながることがある。異常を指摘されたら眼科を受診してほしい」と助言する。

さらに、正しく矯正することも大事だ。度が弱めのメガネをつけても、近視の進行が遅くなるわけではないという。目の発達にあわせて矯正した方が良いため、富田院長は「定期的に通える近くの眼科で年に3回は診てもらう」ことを勧める。

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視力0.3未満が40年で3.5倍に

2019年度の文部科学省学校保健統計調査によると、裸眼視力が0.3未満の小学生の割合は約9.4%で、高校生は約39%に達する。1979年から約40年間で小学生は約3.5倍に増えた。50年には全世界の人口の半数が近視になるとの推計もあり、国際的な課題だ。

積極的に手を打ち始めた台湾では、小学生に1日に2時間外で活動させたところ、視力の低い小学生の割合が減った。

日本でも対応が必要だとされるが、前提となる子どもの近視の実態が把握できていない。小中学校は、健康診断で簡易的な視力検査をするのにとどまる。日本近視学会の大野京子理事長は「地域の病院などと連携して、全国の学校で専門スタッフを配置した調査をする必要がある」と指摘する。

(スレヴィン大浜華)

[日本経済新聞朝刊2020年2月3日付]

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