子どもの近視悪化を防げ 就寝中レンズ、目薬の治験も

子どもの近視の進行を抑えようとする取り組みが本格化してきた。特定の目薬やコンタクトレンズを使った治療法などが海外で報告され、国内でも自由診療で受けられたり、臨床試験などが進む。「遺伝だから仕方がない」などとあきらめることも多い子どもの近視だが、専門医は「早期発見や新技術により、対処できる可能性が広がっている」と指摘する。

東京医科歯科大病院先端近視センターでの診察の様子(東京都文京区)

東京医科歯科大学病院にある近視を専門に治療する「先端近視センター」。ここで都内に住む小学4年生の高田まなちゃん(仮名)は、寝ている間だけ専用のコンタクトレンズをつけて起きている間の視力を回復させる「オルソケラトロジー」という治療を受けている。

「異常はないようですね」。1カ月半前からつけている治療用レンズの装着具合や目の状態を確認した主治医の横井多恵助教は、笑顔で話しかけた。まなちゃんは、近視の進行が速く保育園でめがねをかけ始めた。「大人になってめがねなどで十分な視力が出るよう、治療をすぐ決断した」と父親は話す。

目の発達期に進みやすい

遠くのモノが見えにくくなる近視の多くは、遺伝や環境の影響で起こる。目のレンズと網膜の間の距離(眼軸)が伸びてピントが合わなくなるのが主な原因だ。目が発達する10代前半くらいまでは眼軸が伸びて近視が進みやすい。

オルソケラトロジーは、就寝中に専用コンタクトレンズを装着し、角膜の形を一時的に変えることで視力を回復させる。国内でも承認済みの近視の治療法だ。

国内外の研究で、8歳ぐらいから10代前半までの目の発達期に使用することで眼軸が伸びるのを抑え、近視の進行を抑える効果があることがわかっている。原則は大人向けだが、未成年にも条件付きで処方が認められている。同センターでは、希望する親子には十分に説明し、自由診療で実施している。

同センターは最先端の近視の治療を手がけるために2019年に設置された。近視は若いうちは進行することが多いため、視力が低下し、負担や不便を感じる。中高年以降になると緑内障や網膜剥離などの合併症を起こすリスクも上がる。一度低下した視力を戻すのは難しいため、進行はできるだけ抑える方がいいが、特別な病気を持つ人を除くと、軽く考えてしまう人が多いという。大野京子センター長は「近視の治療技術は進化している。早期発見などと合わせて進行を遅らせる手法を確立し、普及させたい」と話す。