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叙情ホラー漫画の日野日出志 デビュー半世紀の新境地

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NIKKEI STYLE

デビューから半世紀を迎えたホラー漫画の重鎮、日野日出志(73)。SNS(交流サイト)での発信が話題を呼び、叙情をたたえた怪奇物語に再び注目が集まる。新境地に至った心境を聞いた。

「2018年にツイッターを始めたら、色々な人から反応があるのが面白くて創作意欲が刺激された」。埼玉の仕事場を訪ねると、そう語り出した。

SNS発信で注目

00年ごろから作品発表が減り、作風とも相まってカルト的な存在となっていた。それが近年一変。18年、経営難に陥った千葉県の銚子電気鉄道のために企画したスナック菓子「まずい棒」がヒットし、19年には15年ぶりの新作で初の絵本も刊行した。SNSを通して陽性のキャラクターを振りまき、新しいファンをつかんでいる。

1946年旧満州生まれ。67年にデビューし、雑誌「ガロ」などでアクの強い作品を発表してきた。人の残酷さや生きることの不条理さを感じさせる物語には国内外に熱心なファンがいる。

代表作「蔵六の奇病」(70年)は顔中にできものがある百姓の蔵六が主人公。うまく話せず、絵ばかり描いている蔵六は村中から嫌われ、森へ追い出されてしまう。孤独の中で母親への思慕を募らせながら、いつか色彩豊かな絵を描いてみたいと願い続ける。そんな主人公を襲うさらなる悲劇がつづられる。

見どころは登場人物に多くを語らせず、表情や風景、擬音・擬態語だけで進むクライマックスだろう。「最初は主人公に『つらい』『苦しい』と語らせていたが、だんだん自己弁護のように思えてきた。読者に想像してもらえるよう、主人公は話せない設定にして、説明をできるだけ抑えた」と日野は明かす。

幼少体験もとに

下敷きになったのは自身の幼少体験だ。「絵を描くのが好きで、小学校のときにクレヨンを買ってもらえることになった。友達のような24色入りを想像していたら、新聞紙にくるまれた小さな箱に6色しか入ってなくてね」。貧しくて親に文句も言えず、布団の中で忍び泣いたという。「たくさんの色を思う存分使って絵を描いてみたい」という願いを蔵六に重ねた。

文芸評論家の清水正氏は「なぜ生まれてきたのか、死んだらどうなるのか、生きるとはどういうことなのか(中略)そういった永遠的な問題が『蔵六の奇病』という漫画一編の中に込められている」(寺井広樹著「日野日出志全仕事」)と高く評する。純文学とも相通じる普遍性が時代を超えて支持されているのだ。

高校時代は映画監督を夢見た。今のように誰でも簡単に動画を撮れる時代ではない。「漫画だったら紙とペンだけあれば」と方向転換。しかし「時代劇は考証を緻密にやらないとダメ。ギャグ漫画は赤塚不二夫という天才がいて、彼にはかなわない」(日野)。自分に残されているジャンルは何だろうと突き詰めたときに、思い浮かんだのが「叙情と怪奇」というキーワードだった。

「童話やおとぎ話に欠かせないファンタジー、日本の昔話に漂う叙情的な風景を取り込みながら怪奇作品を作ろうと思った」。映画から学んだセリフやカット割りの効果的な使い方も漫画に生きている。

大阪芸大で教壇に立つようになり、いつしか新作からは遠ざかっていたが、ツイッターのフォロワーと言葉を交わすうちに「自分の中でキャラクターが話し始めた。物語が動き出した」と振り返る。絵本をやりたいとつぶやいたら、後押しされて実現することに。

「過去の作品集が刊行されるなど、一体、自分の身に何が起きているのかという感じ」と笑う。「せっかくなのでできる範囲でやっていきたい」と古希を過ぎて第二の春を謳歌する。

(岩本文枝)

[日本経済新聞夕刊2020年2月4日付]

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