ニットを長持ちさせるワザ こまめにブラシ、毛玉防ぐ
温かいセーターは寒いときに重宝する。しかし、数年着続けるとけば立ちや毛玉が気になってしまう。ニットをいい状態で長く楽しめるように、手入れ法を教わった。
毛糸で編まれたセーターやカーディガンはこすれると表面の繊維が立ちあがり、絡まって毛玉ができる。特にできやすいのは、歩くときにすれるわきの下や机などに触れやすい腕だ。外出時にコートをはおるのもこすれる面積が大きくなり、ニットが傷む一因になる。
台の上に広げ 編み目方向に
日々のこうした毛玉の原因に対処するには、こすれをリセットするブラッシングが有効だ。ニット作家のかんのなおみさんによると「絡まる前にほぐすのが決め手」。かんのさんが毎日のように着るロングカーディガンは購入して3年以上たつが、けば立ちが目立たない。気づいたときにブラシをかけるという。
ブラッシングは、洋服ブラシのなかでもニットに使えるやわらかい毛のものを使う。セーターなどを平らな台に広げ、編み目の向きに沿って、やさしくブラシをかけると毛並みがそろい、艶がでる。
宅配クリーニングサービス「リネット」を手掛けるホワイトプラス(東京・品川)の近藤高史さんも「繊維についたホコリやちり、花粉が落とせる」とすすめる。ウールやカシミヤなどやわらかい素材はふわっとした風合いが大事なので、「仕上げに逆方向からブラシをかけて毛を立てるといい」(かんのさん)。
毛玉ができてしまったら、むしらず、毛玉取りブラシか電動の毛玉取り機を使って取り除く。ハサミやカミソリは糸を切ってしまう可能性があるので避けよう。
かんのさんは「小さい毛玉は手のひらサイズの毛玉取りブラシ、大きい毛玉や全体にできてしまったら電動」と使い分けている。薄手や編み目が大きいもの、カシミヤやアンゴラなどやわらかい素材も小型を使う。もっとも毛玉を取り過ぎると繊維が減り、薄くなってしまうので要注意。
日々の保管にハンガーは使わない。糸が伸びてセーターの形がゆがんだり、重さで伸びたりするからだ。シワにならないよう、折り目を少なくしてたたむのが基本。袖は肩と袖のつなぎ目や縫い目から内側に折り、前身ごろの下から半分に折る。スペースが限られているなら、さらに縦半分に。毛糸のふんわり感を維持するために上にはなるべく重ねないようにしよう。
洗い過ぎは繊維が絡まる一因。かんのさんは「なるべく汚さないように着て、洗うのは衣替え前に1回程度」だ。
熱い湯使わず たたんで洗う
とはいえ、しみ込んだにおいや汚れは洗って落とすしかない。様々な素材があるだけでなく、デザインが理由で水洗い不可の場合もあるので、まずはニットの洗濯表示を確認しよう。
水洗いOKの場合は自宅で洗える。「大事なニットはすべて自分で手洗いする」というかんのさんに、自宅で洗う際の注意点を聞いた。
ニットは形崩れを防ぐため、たたんで洗う。ぴったりのサイズにたたんで洗濯ネットに入れてもいい。縮む原因になるので熱い湯は使わない。表示を確認したうえで、おしゃれ着用の中性洗剤を水かぬるま湯に溶かし、数回押し洗いをする。汚れが気になる場合は10分ほどつけ置きする。脱水はたたんだまま洗濯機へ入れ、1分間稼働させる。
近藤さんは「脱水後、柔軟剤を溶かした水で押し洗いし、再び脱水して干すとふっくらする」とアドバイスする。
乾かすときは水の重みで形崩れしないように平らに風通しのよいところに広げる。かんのさんは2本の物干しざおを使って平干ししている。「平干しネットか、ソファの背もたれやビーズクッションにタオルを敷き、上に広げる方法もある」(近藤さん)
特に大事なニットについて、かんのさんは煙やにおいが出る飲食店や汗をかくシーンでは着ていくのを避けている。近藤さんは「帰宅後すぐブラッシングし、風通しのよいところに陰干しするだけで軽いにおいはとれる」という。
毛玉ができにくい着方もある。コートは裏地があるゆったりサイズを選ぶほか、「ジャケットなどをはおり、バッグやリュックがニットに直接触れないようにすること」(近藤さん)。少し気をつけてお気に入りを長く楽しもう。
(ライター 児玉 奈保美)
[NIKKEIプラス1 2020年1月25日付]
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