「ハラル」生活してみた 化粧品も歯ブラシも特別仕様

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歯磨き粉は使わず、鉛筆を削る要領で先を鋭くし、つまようじのように歯間の汚れをとるという。硬いので削りが中途半端なまま口の中に入れたが、塩っぽい味がし、唾液があふれた。唾液には洗浄作用があるというし、イスラム圏の知恵を感じる。ただ歯にはさまった汚れは気になったので、記者も化学繊維の歯ブラシを併用して乗り切った。

人口の約90%がイスラム教徒のインドネシアは法律で化粧品や医薬品にもハラル認証を義務付けた。日本政府観光局海外プロモーション部・東南アジアグループの石崎雄久マネージャーは「今後より厳格なハラル認証を求めるイスラム教徒は増える」とみる。

一方でイスラム思想研究者の飯山陽さんは「イスラム教徒のハラルの捉え方は千差万別。もてなす側はハラル認証が万能だと過信しない方がいい」と指摘する。イスラム教の解釈は信者自身に委ねられる一方、ハラル認証も機関ごとに基準を設けるためだ。

玄冶堂(東京・千代田)の体用せっけんはパッケージの認証マークに加え、豚由来の原料とアルコールが不使用なのを日本語と英語で表記する。代表取締役のモシュケリ香織さんは「成分表示だけでは不親切。イスラム教徒が知りたい情報を明記した」。

オリンピックで訪日外国人が増える。何を知りたくて、何を望んでいるか。イスラム教徒に限らず、異文化への先入観にとらわれず、一人ひとりに耳を傾けることが「おもてなし」の第一歩だろう。

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「旅行しやすさ」世界3位

マスターカードとクレセントレーティングの調査(2019年)によると、日本は「イスラム教徒が旅行しやすい旅先ランキング」で、非イスラム国・地域のうち英国と台湾と同点で3位。15年調査では11位だった。サービス、コミュニケーションなど4分野15項目の評価で、安全性や天候、信仰の自由さなど「環境」分野で高評価を得た。

一方、イスラム協力機構(OIC)加盟国を含めた順位では日本は25位。祈りの場所の数やコミュニケーションの取りやすさが低評価だった。

(田中早紀)

[NIKKEIプラス1 2020年1月11日付]

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