フリーターから研究者 金田一京助「心の小径」が導き人間文化研究機構機構長 平川南氏

国立歴史民俗博物館(歴博)や山梨県立博物館の館長を経て、2018年4月から歴博など6つの人文系研究機関の統括組織、人間文化研究機構の機構長を務める。

歴博の教授だった2000年、日本経済新聞で興味深いコラムを見つけました。博物館について提言する内容でしたが、そこで引用されていたのが桝谷邦彦氏の『ドイツ魂』。「『博物館』というものは、その国が最も重きをおいている価値観を反映している」という一節に衝撃を受け、早速読んでみました。さて日本の人文系博物館だったら何だろうと考えました。「自然と人間の調和」そして「平和の創出」を発信しなければならないでしょう。

実学重視のあおりを受け、哲学、歴史学、国文学などの人文学が危機だといわれます。しかし、人間とその社会にとっての「真の豊かさを問うこと」において人文学は欠かせません。それを理解していただくためにも、社会に応答する必要がある。そこで参考になったのが福岡伸一氏の『動的平衡』。難しいと思われがちな最新サイエンスの知識を実に分かりやすく紹介する。私たち自ら人文知コミュニケーターになり、また次世代も育てなければいけないと痛感しています。

(聞き手は編集委員 中野稔)

[日本経済新聞朝刊2020年1月4日付]

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