「安ければ」ではつまらない 日用品、新しい価値提案エステーの鈴木貴子社長

エステーの鈴木貴子社長
エステーの鈴木貴子社長

「消臭力」や「ムシューダ」などの商品で知られるエステーが、高付加価値路線で成果を上げている。陣頭指揮をとるのが2013年に就任した鈴木貴子社長だ。外資系高級ブランドでマーケティングを手がけてきた経験を生かし、ブランド戦略の改革を進める。「空気を軸にもっと立体的に事業を広げたい」。BtoBで新市場の開拓に挑む考えだ。

安さ一辺倒は面白さがない

――高付加価値路線にかじを切った背景を改めて教えてください。

「日用品は安ければ安いほどいいという人もいますが、それじゃ面白くないじゃないですか。買い物はエンターテインメントでもあるし。自分に刺さる物であれば多少価格が高くても買いたいという人が出てきたタイミングでもありました」

「価格をあげるなら、どれだけ新しい価値を創造できているのかを徹底的に追求したいと思いました。作り手の目線ではなく、ユーザーに寄り添った新しい価値、情緒的価値を追求して商品開発を進めています。デザインはその新しい価値の本質を際立たせるものになっているかどうかをシビアに見ています」

――具体的な商品で言うと何でしょうか。

「消臭力の中でも主流になった『消臭力プレミアムアロマ』シリーズです。このグラフィックは柔軟剤などにあるもの。これまでの消臭芳香剤の香りとは違うのが一目で分かるデザインです」

――デザイン案を社長が却下することもありますか。

「あります。みんなにしてみれば『何で?』と思うかもしれませんが、なぜやり直してほしいのか腹落ちするまで説明するのを心がけています」

――ルイ・ヴィトンジャパンで働いた経験は生きていますか。価格は大きく違いますが。

「ちょっと高くても買ってもらう努力は日用品もラグジュアリー商品も一緒だと思います。価値の作り方、伝え方は違いますけどね」

――小林製薬など競合他社は意識しますか。

「してないですね。私は消臭芳香剤とか日用品メーカーにとどまる必要はないと思っています。空気を軸にもっと立体的に大きなグループを作りたい。今のところ私たちがお客様として向き合っているのはBtoC。でも臭いや空気の問題は事業所や病院、介護施設にもあります」

「例えば設備自体に組み込むことなどが考えられます。私たちは『クリアフォレスト』という北海道のトドマツの間伐材から抽出した成分を使ったブランド商品を持っています。消臭効果や心身をリラックスさせる効果もある。パウダーを原料で他社に提供してゴミ袋に練り込んだり、エアコンのフィルターに使ったり、用途は広いです」

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