師走のタスク管理 無理せず3つに絞り、書いて手放す生活コラムニスト ももせいづみ

2019/12/17
写真はイメージ=PIXTA
写真はイメージ=PIXTA

以前、脳科学の先生に「家族に家事を頼むなら、3つまで。それ以上言っても忘れちゃうから」と教わった。脳のワーキングメモリーの容量は思いのほか少ないので、一度に大量の情報を流し込むと、動きを止めてしまう。「to do」(やるべきこと)は3つぐらいがちょうどいいのだそうだ。

仕事の采配や帰省、正月の準備などで「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」の師走の今。気持ちはせわしないのに、何から手をつけてよいのかわからず、効率が上がらないという人も多い気がする。

こういう時には、頭のワーキングメモリーをあけるために、浮かんだことはまず書き出してしまうのがよいのだとか。頭で考えていると脳の容量を使ってしまうので、まず書く。書いたら「できるときにできることを」ぐらいの気持ちで執着を手放す。そして、今できる小さなことに手をつける。欲張らず、to doは3つまで。

これは、目標を持つときにも大切な考え方なのだと思う。願いは思い続けるだけでも脳のワーキングメモリーを使ってしまうので、思いが強いほど行動に移しにくくなってしまう。頭に浮かんでくることはとりあえず書いて手放し、できた頭の隙間で小さく動いて、それを積み重ねていく。そのほうが結果的に夢への近道になるのだそうだ。「書く」ってかなりおもしろいものだなぁ、と思う。

ということで、師走のこの時期は特に、家事まわりで頭に浮かんでくることは端から全部書きだしてしまおう。歩きながら思い出すことも多いから、スマホのメモや音声入力を使うのもいいと思う。

全部を見渡してしまうと膨大で動けなくなってしまうので、朝、ここから3つだけ選んで、別の場所に書き出す。手帳でもメモ用紙でもいい。その日は、それだけを見て行動する。できなかったとしてもあせらない。また、明日やればいいぐらいの、のんきな気持ちで。

私の友人には、付箋を使ってこの方法で家事シェアをしている人がいる。家事のto doを付箋に書いてボードの中心に貼り、家族それぞれが、その週にできそうなことを選んで、自分のエリアに移す。

これなら各自がやることが見えるから動きやすいし、「自分の意志でできそうなことを選ぶ」選択肢もあるから、やらされている感も少ない。家の中に有象無象の家事がいっぱいあることをわかってもらえる効果もあるし、終わったときに付箋を廃棄する爽快感もあるとか。これはすぐにでもまねできそうだ。

忙しい時期は「やらなきゃ」で頭がいっぱいになると、イライラしてしまいがち。書いて手放し、そこから今日「できそうだな」「やりたいかも」と思える3つだけ選んで手をつけよう。「書いて手放す」って、意外にも大きな家事の知恵なのかもしれませんね。

ももせいづみ
東京都出身。暮らし、ライフスタイルを主なテーマとするコラムニスト。本コラムを含め、自著のイラストも自ら手がける。「新版『願いごと手帖』のつくり方」(主婦の友社)、「やれば得する!ビジネス発想家事」(六耀社)など著書多数。

[日本経済新聞夕刊2019年12月17日付]