たばこのリスク、加熱式も 受動喫煙抑止へ対策の動き

健康への影響が少ないと思われてきた加熱式たばこについて、危険性が指摘され始めている。厚生労働省は2018年、加熱式たばこには、紙巻きたばこと同程度のニコチンを含む製品があるなどとする調査結果を発表した。加熱式たばこは発売からまだ日が浅い。健康への影響が明らかでない部分も多く、専門家は「加熱式のリスクを議論すべきだ」と警鐘を鳴らす。

大阪府が飲食店に配布した専用喫煙室の有無などを示すステッカー(4日、大阪市)

17年の国民健康栄養調査によると、加熱式か紙巻きかにかかわらず「たばこを毎日吸う」と答えた人は16.6%で、男性では27.8%にのぼった。加熱式は日本では14年ごろに発売され、急速に普及し始めた。自身や周囲の人の健康への影響が比較的少なそうとの印象から、紙巻きから乗り換えた人も多いとされる。

厚労省は18年3月、国立がん研究センターなどへの委託調査の結果として、喫煙時の室内ニコチン濃度の測定値を示した。紙巻きの1立方メートルあたり1000~2420マイクログラムに対し、加熱式は同26~257マイクログラムと比較的低かった。ただ喫煙者が吸う「主流煙」に含まれるニコチンは、製品によっては紙巻きより加熱式のほうが濃度が高いものがあった。ニコチンは依存症を引き起こす原因にもなる物質だ。

調査結果では、主流煙に含まれるアセトアルデヒドなどの発がん性物質の含有量について、加熱式は紙巻きより少ないとのデータも示された。

調査結果について大阪国際がんセンター(大阪市)の田淵貴大医師は「調査結果はごく一部の物質に関するデータしか取り上げておらず、加熱式たばこの危険性を十分に伝えていない」と指摘する。

田淵医師が携わる研究では、15年からインターネット上で15~69歳の約1万人を追跡調査。17年の結果では、最近加熱式を吸ったと答えた人のうち約7割が紙巻きも併用していたことが分かった。

併用は、紙巻きが吸えない場所では加熱式を吸うなど場所を選ばず喫煙し、依存が続いてしまうという。田淵医師は「紙巻きは、本数を減らしてもがんや心筋梗塞などの病気になるリスクはほぼ変わらない。加熱式と併用すると健康への悪影響は増大する可能性がある」と強調する。

ニコチンと同じく有害物質を含むタールは「計算方法や定義が定まっていない」としながらも、「粒子状物質の総量をタールととらえれば、紙巻きと同程度か上回る量を含む製品もある」と指摘する。

「加熱式は健康への影響が少ない」というイメージによって、子どもがいる室内などこれまで喫煙を控えていた場所で新たに加熱式を吸う人がいることにも触れ、「明らかになっていない部分も含め加熱式のリスクをきちんと議論すべきだ」と警鐘を鳴らす。

ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント