セイコー「プレザージュ」時計職人の技と伝統工芸融合

日経MJ

2019/12/13
11月に開いた直営店「セイコーブティック渋谷パルコ」でも取り扱う(都内の店舗)
11月に開いた直営店「セイコーブティック渋谷パルコ」でも取り扱う(都内の店舗)

日本製を強く打ち出したセイコーウオッチの腕時計「プレザージュ」が人気を集めている。有田焼や漆塗りといった日本の職人技を落とし込み、機械式ムーブメントと融合させた。もともとアジア市場を狙っていたが、徐々に国内でも愛用者が増加。セイコーは成長の柱とする「グローバルブランド」の1つに据え、実店舗でこだわりを訴求する戦略を打ち出す。




日本らしいこだわりを腕時計に乗せる

「デザインはもちろん、技術でも日本ならではにこだわった」。プレザージュを担当するマーケティング1部の伏見和浩主事は力を込める。「『機械式=スイス製』というイメージを変えるには、日本らしいこだわりを時計に乗せる必要がある」との考えからだ。

プレザージュは価格帯別に、2つの商品群を取りそろえる。5万円前後の「ベーシック」は手軽に機械式が手に入るとして、20~30代の働く男性から引き合いが強い。文字盤に職人技が光る「プレステージ」は10万~20万円でこだわりの強い40代が主要顧客だ。

なかでも、文字盤にガラス質の上薬「ほうろう」を使った主力モデルは税別10万~25万円。13年に数量限定で発売したところ国内外で人気となり、14年には通常販売に切り替えたという。

ほうろう職人の横沢満氏が一つ一つ手作りしており、時計ごとにかすかに色合いや表面の違いがある。ほうろうはセイコーが約百年前に出した国産初の腕時計にも採用した素材。金属製が主流になった現在、ほうろうの自然な白さが「どこか懐かしい」と再び脚光を浴びている。

高い技術に比べ手ごろな価格も魅力の1つだ。ほうろうや有田焼、漆塗りモデルは15万円前後で、仮に他のメーカーが出せば「ケタが1つ違う」(伏見さん)。「高い技能をより多くの人に体感してもらいたい」という職人の意向も反映した。

世界50カ国以上に販売網

文字盤にほうろうをあしらったモデルは、金属製にはない独特の質感がある

プレザージュが誕生したのは、2010年末だ。当時は中国市場では日本製品のブームが起き始めており、これに対応して日本を前面に押し出したブランドとして出発。中国の女性に人気だった歌手を広告塔にも起用して、東アジア市場の取り込みに動いた。

11年には国内での販売も開始。16年にグローバルブランドと位置づけられ、今では世界50カ国以上に販売網を広げる。店舗網の拡大に伴い、売り上げも増加基調が続く。

直近の目標は世界での知名度をさらに上げることだ。セイコーのグローバルブランドには高価格帯の「グランドセイコー」や高機能腕時計「アストロン」などがあり、プレザージュはその中で最も新しいブランドに位置づけられる。

手作りの文字盤は広告では伝わりにくく、違いは店舗でこそ分かるとみる。そこで、セイコー商品の専門店「コアショップ」で取り扱いを増やしている。プレザージュを100年さび付かないブランドに育成し、グローバル化の進展を目指す。

(佐伯太朗)

▼ブランド名はフランス語で「予感、前兆」を意味する。ブランド全体では60~70モデルを用意。5万円前後のシリーズでは、庭園や円窓などから着想を得たシンプルなデザインが中心となっている。1986~96年にも同名のブランドを展開していたが、こちらは電池式で奇抜なデザインだった。

[日経MJ 2019年12月13日付]

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