お湯ポチャ料理でおもてなし ボンゴレライスも手早く
管理栄養士 今泉マユ子
以前このコラムで「『もしもの時』はポリ袋でお湯ポチャ調理」と題して、高密度ポリエチレン製ポリ袋に食材を入れて湯煎で加温する「お湯ポチャレシピ」を紹介した。災害時に作りやすいレシピの特徴は、節水しながらも衛生的で、しかも時短で作れることだ。これらの要素は実は、平時の忙しい人たちにも求められている。
ただ、いくら便利な調理法だと知っていても、作り慣れていないといざという時に活用できないかもしれない。そこで私はみんなで集まる機会に、お湯ポチャレシピを積極的に使っておもてなしをしている。
2018年末の忘年会は「防災パーティー」と銘打って友人5人が我が家に集まり、一緒にお湯ポチャレシピを作った。材料を袋に入れて混ぜるだけなので、作るのはとても簡単。鍋の水は汚れないので繰り返し使える。ボウルなどを使わないため、洗い物はほとんどない。友人らにも喜んでもらえた。
別の友人が3歳の子供を連れて我が家に遊びに来たときは、お湯ポチャでご飯やおかずなど数種類を1つの鍋で同時に作った。人が集まる時こそ、お湯ポチャレシピはとても楽ちんで、時短家事の本領を発揮する。
作り方の基本をおさらいしておこう。必ず「高密度ポリエチレン製」と表示のある半透明のポリ袋を使う。材料を入れたら、袋内の空気をなるべく抜き、上の方で口をしっかり結んでから湯煎する。加熱時に鍋底の熱でポリ袋に穴が開かないように、皿を1枚鍋底に敷いておく。
ご飯を炊くときは、高密度ポリエチレン製ポリ袋に無洗米1合と水1カップを入れ、空気を抜きながらねじり上げて袋の上部を結ぶ。鍋に深さ2分の1まで水を入れ、皿を沈めてから袋を入れて火をつける。沸騰したら20分間火にかけて、10分間蒸らすとおいしいご飯が炊き上がる。
炊飯時にレトルトパスタソースを加えるのもお薦めだ。米1合と水1カップの他に、タラコソース1人前を入れて炊くとタラコご飯に、ボンゴレビアンコソース1人分を加えるとボンゴレライスの完成だ。パセリのみじん切りを混ぜれば、彩りと風味がさらによくなる。
お湯ポチャで大人数向けにたくさんの量を作りたい時は、1袋に入れる材料を増やすのではなく、袋の数を増やすこと。家族や友人、親戚と集まる機会が増える12月から1月にかけて、もしもの時の訓練もかねて、お湯ポチャレシピでおもてなししよう。
1969年生まれ。管理栄養士として企業の社員食堂、病院や保育園に勤務。缶詰やレトルト食品を使った時短レシピのアレンジのほか、防災食アドバイザーとしても活躍。
[日本経済新聞夕刊2019年12月10日付]
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