大掃除前にぎっくり腰予防 小まめストレッチで柔軟に
突然、腰に激痛が走るぎっくり腰。急激な動作で起こることが多く、腰部のこわばりや筋力低下が原因となる。大そうじなどでこの時期は腰が悲鳴をあげやすい。簡単にできる運動でしっかり予防したい。
ぎっくり腰は医学的には急性腰痛症という。痛みは腰の筋肉の肉ばなれ、椎間関節のズレや捻挫などによるものだ。椎間板ヘルニアなどと異なり、ぎっくり腰の痛みは普段通りの生活をしていても、数日~数週間で治まることが多い。
前かがみや両膝を伸ばした状態で重い物を持ち上げるなどの急激な動作、筋力の低下やこわばりなどで発症。年末の大そうじで誘発すると、年末年始を台無しにしかねない。そこで、腰回りに十分な筋肉をつけ、柔軟性を保つ運動によって未然に防ぎたい。
まずは、腰回りのこわばりチェック。緊張してこわばっているところを確認して、ほぐせば予防につながる。まずは(1)前後の動きをチェック。脚を肩幅程度に開いて立ち、腰部に両手を添え、おなかを突き出すように軽く反らせてみる。次は息を吐きながら軽く上体を前屈してみよう。
やりやすかった方を3回繰り返し、その過程で、心地よいタイミングがあれば、そこがこわばっているところ。その姿勢で3~5秒程度静止し、ゆっくりともとの姿勢に戻る。こわばりがほぐれる。
続いて(2)左右の動き。腰に手を添えて真横に突き出してみよう。左右に違いがないかどうか感じ取ってほしい。骨盤が正面を向いた状態のままゆったりチェックしよう。(1)と同様、心地よいタイミングで3~5秒程度静止する。
運動不足や筋力低下を感じる人には、軽い体幹トレーニングがお勧めだ。
まずは(3)片脚伸ばし。寝転んでお尻の下に八つ折りにしたバスタオルを挟む(腰部を床から反らせないため)。身体の横に手を置き、片膝を90度に曲げて腿(もも)が床に垂直になるように上げ、もう一方の膝もゆっくりそろえる。お臍(へそ)のあたりにボールを乗せる。ボールが落ちないよう調整しつつ片脚を踵(かかと)から押し出すように4秒程度かけて伸ばして戻す(左右交互に4~10回程度)。
続いて(4)片手・片脚伸ばし。(3)に腕の動きを加える。右脚と左腕を同時に動かす。脚と腕は伸ばしたまま耳にそえるように頭上方向へ下して、腕・脚ともに元に戻す(左右交互に4~10回程度)。終了後は(5)両膝かかえ(6)背伸び&脱力でリラックスしよう。
ぎっくり腰の要因となるこわばりを防ぐためには小まめなストレッチも有効。日常生活や仕事の合間に椅子に座ってできる運動をお薦めする。まずは(7)膝かかえほぐし。片膝ずつ抱えて引き寄せる。次に(8)脚かけほぐし。片足首をもう一方の膝上あたりに乗せ上体を前に倒す。余裕があれば脚を大きく開いて上体を前に倒す(9)ゆったり前屈を試してみよう。腿に手を置き軽く上体を反らせる(10)上体そらしは、お尻や腰部を弛緩(しかん)し血行促進に効果的だ。
年末年始は楽しく過ごしたい。今の時期こそ、できることから無理なく備えていただきたい。
(早稲田大学スポーツ科学学術院 荒木邦子)
[NIKKEIプラス1 2019年12月7日付]
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