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大日本印刷の宇野浩輔さん

大日本印刷の宇野浩輔さん

フリマアプリ大手のメルカリが10月からコンビニエンスストア向けに梱包資材の納入を始めた。この事業を支えるのが大日本印刷(DNP)営業第2部の宇野浩輔さん(36)だ。これまでDNPが手がけてきた受注型の事業と異なり、在庫リスクを抱えながらメルカリ向けに資材を用意する体制を整えた。顧客に寄り添う営業で新規の大型受注をつかみ取った。

10月に全国のセブン―イレブンで取り扱いが始まったメルカリオリジナルの梱包資材。メルカリの利用者が出品物を郵送する際に使うクッション入りの封筒や段ボールなどを製造するのはDNPだ。

「コンビニで資材を販売し、消費者との接点を増やしたい」。宇野さんがメルカリから相談を受けたのは7月。もともとDNPはメルカリがオンラインストアで販売する梱包資材を供給していた。今回も一見、既存のビジネスの延長線上にある取引のようだが、実態は全く異なる。

試作品で具体提案

メルカリが求めたのは、DNPがメーカーとして直接、コンビニに出荷することだった。商品容器など取引先から注文を受けて製品をつくる受注型の事業と異なり、DNPが在庫リスクを抱えながら製造することを意味していた。

「在庫リスクを抱える一方で商品の供給責任があり、社内を説得するのは難しかった」。断ることもできたが、宇野さんが営業担当として心がけているのは「首を横に振らない」こと。結果として断るケースはあるが、その場合も「本当にできないか、とことん考えた上で、自分の言葉で説明する」という。

メルカリとの商談では、在庫リスクを懸念する社内に対し「利用者が多いメルカリの商品をコンビニで扱うことの魅力」を訴えた。7月に相談を受けて、すぐに試作品を提案。8月にはテスト販売を始め、わずか3カ月で10月からの本格販売につなげた。

メルカリは他の企業にも同様の相談を持ちかけていた。DNPをパートナーに選んだのは「スピード感とコスト、提案のクオリティーを評価した」(担当者)ためだ。

宇野さんが特に意識したのは具体的な提案だ。交渉の初期から試作品を持ってメルカリを訪れた。「絵に描いたイメージだけでは十分に伝わらない。試作品を目の前に置いて説明するようにした」

自社の既存ビジネスの枠を超えて迅速に動く姿勢が、大口の新規受注につながった。現在ではローソンとファミリーマートを加えた大手コンビニ3社向けに出荷しており「販売量は計画を上回って推移している」という。

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