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国分グループ本社の古城尚子さん

国分グループ本社の古城尚子さん

食品卸大手の国分グループ本社が小売り向けの提案に力を入れている。人口減と高齢化に直面する国内市場。卸業界にはモノの中間流通だけでは生き残れないとの危機感が広がる。マーケティング企画部の古城尚子さん(48)は販売促進の企画提案や時代を先読みした品ぞろえの提案で売り場の活性化をリードしている。

「もっと売れてもいいのに。どうしたら伸びるだろう」。内臓脂肪を減らしたり、血糖値の上昇を抑えたりといった食酢の健康面への効果が注目され始めた2015年。古城さんはある数字に目を留めた。市場全体やスーパーでは飲用酢の売上高が前年比で6%以上伸びているのに、ドラッグストアではむしろ減っていた。なぜだ。

仮説に固執せず

「ID-POS」と呼ばれる顧客属性付きのPOS(販売時点情報管理)データを使って購買層の年齢や性別などを分析。浮かび上がったのは、薄めて飲む希釈タイプも、そのまま飲めるドリンクタイプも、購入者の中心は50~60代の女性だった。購入者の「タイプ別」に売り方を提案すれば、ドラッグストアでの販売も伸ばせるのではという当初の目算は崩れた。

一方で、打開のポイントもデータにあった。食酢と一緒に購入する商品を調べると、ストレートタイプではダイエット食品や野菜飲料、乳酸菌飲料などの健康食品が多い。「疑問に思ったら仮説を立て、その仮説が行き詰まったら一度引いて、違う視点を持つことが大切だと学んだ」。

古城さんは早速、それまで食酢のコーナーに並ぶことが多かったストレートタイプの飲用酢を、野菜ジュースなどの飲料コーナーに並べる展開を提案することにした。

ただドラッグストアは商品分野ごとに売り場を固定する傾向が強く、売り場をまたいで商品を並べる「クロス提案」はハードルが高い。売り場の見直しに難色を示す取引先は多かったが「若年層の立ち寄りが多い飲料コーナーに置けば、新しい客層の開拓につながる」と口説いた。併せて効果的な店頭販促(POP)や店内放送のプランも提示したところ、複数の店舗がトライアルに協力してくれた。

効果はてきめんだった。売り場を見直した店舗では、飲用酢の来店者あたりの買い上げ率が前年同期比で8.8%上昇し、売上金額も16%伸びた。この結果を見て、他店でも売り場を見直す例が相次いだという。

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