ミニストップの無人レジ店 スイーツ封印、冷食を充実
ミニストップが7月、東京・江東に新型店舗「365table(サンロクゴテーブル)」を出店した。同社初となる無人レジの小型実験店で、得意とする定番スイーツを提供しない。その代わりに、従来の店舗より冷凍食品や低価格の品ぞろえを充実させたのが特徴。働く女性や単身世帯が着実に増えるなか、新たな需要を掘り起こそうと工夫を凝らす。
東京メトロ南砂町駅(東京・江東)から徒歩10分。住宅街の一角にウッド調の茶色い看板の店舗が見える。外から見ても「ミニストップ」の文字は一切なく、店内はコンビニエンスストアや食品スーパーを掛け合わせたような雰囲気を醸し出す。来店時は常駐している店員は2人しかいなかった。
ミニストップと言えば、ソフトクリームやハロハロなどのスイーツを扱うのが強みだが、新店舗では定番スイーツを作る店内キッチンがどこにも見当たらない。飲料やパンなどに加え、総菜を中心とした冷凍食品を豊富に取りそろえた。イオンのプライベートブランド(PB)「トップバリュ」の低価格品も数多く並んでいる。
新型店は24時間営業でなく、IT(情報技術)技術で効率運営を模索する――。そのため、支払いは3台の無人レジのみにした。購入者は商品を自分自身でスキャンし、現金やクレジットカードで支払う。一部店舗で有料化したレジ袋は、大中小の3種類を用意するがいずれも無料。レジ打ち業務をしなくてよい店員は品出しなどの作業に集中する。
高齢者を中心に支払いで戸惑う姿も見られたが、ミニストップの藤本明裕社長は「開店2週間たつと来店者も慣れてきた」と話す。
サンロクゴテーブルはあくまでも実験店で、多店舗化するかは販売状況次第という。それでも始めたのは持続可能な店舗に向け、少しずつ種まきをするためだ。営業時間がその一つ。セブン―イレブン・ジャパンを中心に大手コンビニは24時間営業の有無で揺れており、営業短縮の影響を把握するために実験を進めている。
藤本社長は「冷凍食品や飲料の価格を食品スーパーの水準に合わせた」と話す。価格に対する来店者の反応を検証。必要な品ぞろえや価格設定に役立てる。コンビニと食品スーパーの良さを融合し、効率運営の売れる「非24時間店舗」をどのように作り出せるか。これが当面の課題となっている。
ミニストップの国内コンビニ事業は振るわず、同社の2019年2月期の連結決算は2期連続の最終赤字。足元で「100円おにぎり」などの効果が出ているが、主力のコンビニ事業を底上げし次なる柱を構築するのは必要不可欠だ。実験店とする「サンロクゴテーブル」だが、一店の持つ役割は意外に大きいのかもしれない。
(原欣宏)
[日経MJ2019年11月27日付]
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