眠れない「むずむず脚症候群」 症状を和らげるには

NIKKEIプラス1

ドーパミン作動薬による治療は患者には朗報だが同時に課題もある。井上理事長は「数カ月使用していると、服用し始めたころの効果が続かず、症状が出る時間が早まったり、部位が広がったりするなど重症化することがある」と解説。重症化を避けるには、安易に投与量を増やさず、症状には波があるので様子を見ながら休薬するなど薬物療法の「さじ加減」が必要だ。

ドーパミン作動薬以外の治療をうまく組み合わせることも大切だ。堀口客員教授によると、鉄分の不足は体内でドーパミンが作られるのを妨げ症状を悪化させる。医薬品などで鉄分を補給したり、異常感覚を鎮める働きのある漢方薬「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」を用いたりすることも有効であると臨床研究で明らかになっている。

症状を軽減するには生活改善も重要。井上理事長は「カフェイン、アルコール、喫煙を控えるのが絶対条件」という。カフェインは症状を悪化させるだけでなく、鉄分の吸収を妨げるので要注意だ。

このほか規則的な就寝、起床を心がけ、寝る前に短時間歩いたり脚をマッサージしたりすることが症状改善に役立つこともある。また、風呂やシャワーなどによる温度変化の刺激は症状を改善することもある。温かい方がいいのか、冷たい方がいいのかは個人差があるので、自分で最適の方法を見つけるといい。

病気への知識の普及が遅れていたため、症状に悩みながらも治療を受けていない患者も多い。症状によって睡眠不足になり、仕事の集中力がそがれるなど日常生活に支障をきたしたら、早めに医師に相談したい。堀口客員教授は「眠れないと訴えるだけではなく、体の異常感覚についてきちんと説明することが、適切な治療を受けることにつながる」と助言する。

(ライター 荒川直樹)

[NIKKEIプラス1 2019年11月23日付]

ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント
注目記事
ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント