溶けるチーズ×ツナ… フライパンで作るホットサンド
体が冷える冬の朝は、食事で内側から温めたい。食パンにひと手間かけて、チーズがとろりと食欲をそそる「ツナメルト」はいかが。フライパンで簡単に作れるホットサンドだ。コツとアレンジを聞いた。
メルトとは溶けたチーズの意味。ツナメルトはアメリカのダイナー(食堂)で、パンケーキやハンバーガーに並ぶ定番の軽食だ。ツナサラダを使い、チェダーチーズやスイスチーズなど溶けるチーズとともにパンで挟み、鉄板で焼いたもの。
焼きたては表面がサクサク、割ったところから温かいチーズがとろ~り。朝食や昼食として好まれている。
日本でいえば、「すし屋の太巻きのようなもの」と話すのは、ファイヤーハウス(東京・文京)の社長、吉田大門さん。同店は1996年開店のグルメバーガーの先駆的存在だ。店は「米国のどこにでもあるような田舎のダイナー」をイメージし、メニューにツナメルトがある。
同店ではくるみ入り胚芽食パンを使っており、ツナサラダを載せ、その上に砕いたピーナツとゴマを振る。使うチーズは加熱するとよく溶けて伸びるステッペンチーズ。ハンバーガーと交互に注文する客もいる人気メニューだ。
ホットサンドの一種でもあるツナメルト。家庭で作るとなると、両面鉄板のついたホットサンドメーカーがないとできないと思っているかもしれない。しかし、ツナメルトは、家庭用のフライパンで簡単に作ることができる。
「ホットサンドメーカーでぎゅっと挟んでカリッと焼き上げるのもおいしいが、フライパンでじっくり焼くと、厚めのパンでもふんわり仕上がる」と料理研究家の野口英世さんはいう。
パンは厚切り 具材も好みで
食パンはやや厚めを使おう。8枚より6枚切りがおすすめだ。チーズは溶けるタイプのスライスチーズやピザ用を使う。中にツナ缶をマヨネーズであえたツナサラダを挟む。ツナとマヨネーズだけでもいいが、「みじん切りにしたタマネギやマスタードを少量加えると、クリーミーなチーズの味をピリッと引き締めてくれる」(野口さん)。
ポイントは具材の載せ方。パンと具材を接着させるために、チーズはパンの両面に半量ずつ。パンの上にチーズ、その上にツナサラダ、チーズ、パンの順で載せていく。事前にツナとタマネギの水気をしっかり切っておくのを忘れずに。
焼く前に用意しておきたいのが「重し」だ。食パンと同じくらいの大きさのバットや耐熱皿・容器を使う。「裏が平らなものを選んで」と野口さん。均等に重みがかかると、パンの全面がフライパンに密着し、きれいな焼き色がつく。パンが軽く沈むくらいの重さが目安という。
フライパンにサンドイッチを入れ、重しを上に載せたら点火し、中~弱火で2~3分間加熱する。好みのきれいな焼き色がついたら裏返す。裏側も同様に、重しを載せて焼きあげる。
フライパンはフッ素樹脂加工のものだと油をひく必要がなく、上手に焼き色をつけることができて便利だ。風味豊かに仕上げたいなら、バターを落として焼いてもいい。油なら、オリーブオイルを。焼き上がったら、刃を少し立て気味にサンドイッチに差し入れ、小刻みに切り進めると溶けたチーズや熱々のツナサラダが中から出るのを防げる。
和の食材とも相性バツグン
具材を変えたり、食パン以外のパンを使ったりすると「創作メルト」ができる。半端に余っているパンを試してみるといい。チーズをチェダーチーズやクリームチーズ、カマンベールチーズ、ブルーチーズに変えてみてもいいだろう。チーズの量はお好みで。ツナサラダの代わりには卵サラダやポテトサラダ、ハム。意外に果物やジャムも合う。
「前日のおかずの残りをはさんでもいい」と野口さん。うまみたっぷりのチーズは、和食や和の食材とも相性がいいからだ。「きんぴらゴボウやひじき煮、豚肉のショウガ焼きなどもお薦め」という。おかずメルトにすれば、野菜やタンパク質などがパンと一緒にとれて、それだけで食べ応えのある一食に。スープなど温かい飲み物を添えると、満足度はさらに高まる。
まずはゆっくりできる休日に、体がホッとするブランチやおやつとして挑戦してみてはどうだろう。
(ライター 松野 玲子)
[NIKKEIプラス1 2019年11月23日付]
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