アルミ製アタッシェ 「ゼロハリ」の魅力、若者も支持

日経MJ

2019/11/22付
11月15日に丸の内店を改装開業した(千代田区の店舗)
11月15日に丸の内店を改装開業した(千代田区の店舗)

かばん大手のエース(東京・渋谷)が手がける米国の老舗高級ブランド「ゼロハリバートン」が顧客層を広げている。武骨なデザインと実用性を兼ね備えるのが特長だが、50代男性を中心とした従来のファンに加え、若者の間でも知名度が高まりつつある。使い込むことで魅力が高まるアルミニウム製ケースの魅力を地道に訴え、ブランド力の向上につなげている。




「上司が持っていて気になっていた」

15日に改装開業したゼロハリバートン丸の内店(東京・千代田)。店を訪れた20代後半の男性は「上司が持っていて、気になっていました」と、銀色に光るアタッシェケースを熱心に見定めていた。

シンプルな構造に耐久性などの機能を備えるだけでなく、高いデザイン性にも引かれた男性。「下見に来た」と話していたが、結局、新品のゼロハリバートンを提げて店を後にした。

ゼロハリバートンは1938年に誕生した米国発かばんブランドだ。アポロ11号に月面着陸した際、月の石を持ち帰ったかばんとして知られる。

シンプルで使いやすい商品を数多くそろえており、布製やポリカーボネートを使ったかばんも販売する。それでも、圧倒的な一番人気となるのは、ブランドの象徴となっているアルミニウムケースだ。

金属製のデザインが幅広いファンを集める

従来はその機能やデザイン性から、出張や商談などの移動時にも使いやすく、スーツにも合わせやすいとして、スーツケースやアタッシェケースにこだわりを持つ中高年男性が中心顧客だった。

ただ近年は「若い世代の人でも手に取る人が増えている」(ゼロハリバートン丸の内店)。職場の上司など身近な人の影響に加え、頑丈で使いやすい品質が、多少高くても長年使える商品を求める若者の傾向に合致しているようだ。

使い古した独特の風合いも魅力に

エース傘下の運営会社、ゼロハリバートンのトム・ネルソン最高経営責任者(CEO)は「1個のケース(かばん)を10年使った後、また新しいケースを買うファンがいる」と話す。アルミニウム製のケースは使うごとに傷やへこみがつくが「それも魅力」(エース)。店舗への来店客も、使い古したゼロハリバートンの独特の風合いに興味を持った人が多い。

今後はさらに、日本事業の拡大を目指す方針。機能性や質感を打ち出した商品を増やし、日本での売上高を「5年以内に全体の33~40%にまで引き上げたい」(ネルソン氏)という。

ゼロハリバートン自体はブランドメッセージを大きく変えていないが、その特長は消費者の意識が変容しても色あせない。地味ながら、ブランドの強みをたゆまず発信し続けることこそ、マーケティングの神髄かもしれない。

(堺峻平)

▼エースが2006年に買収した米国発の高級かばんブランド。アルミニウムの強度を高めるため、ケースの側面に施したくぼみが「ダブルリブ」デザインとして知られる。ポスターや映画での登場機会も多い。全体の平均価格帯は約10万円で、ポリカーボネートやナイロンを使った軽量品もそろえる。

[日経MJ 2019年11月22日付]

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