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個人データの保護は個人にとっても巨大IT企業の繁栄にとっても重要だ= イラスト・よしおか じゅんいち

グーグルやアップルなど、世界規模でプラットフォームビジネスを展開し、様々なデータを収集する「GAFA」にはその影響力の大きさから様々な懸念が示されている。しかし、電子商取引やソーシャルメディアを通じた情報取集・発信が当たり前になった現在、GAFA同様の影響力をもちつつある企業は他にも生まれている。

巨大データ活用

その一つは、今や世界最大のエンターテインメント企業とも評されるネットフリックスだろう。『NETFLIX コンテンツ帝国の野望』(牧野洋訳、新潮社・2019年)の著者、ジーナ・キーティングは、1990年代後半から2011年の間の同社の成長物語を緻密なインタビューを基に描いている。同社の成功は、データを活用することで、ユーザーの好みや行動は驚くほどの精度で予測可能だと証明した結果である。

著者は、創業当初から、同社がいかにデータやアルゴリズムを駆使して、ライバルを破綻に追い込み、アマゾンの脅威を跳ね返し、エンターテインメント業界を再編しつつあるのかを、経営チームの規律を中心に描いている。

また、田中道昭の著書『GAFA×BATH』(日本経済新聞出版社・19年)では、GAFAと同等の影響力をもちつつある、BATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)の4社の中国企業をそれぞれGAFA各社と比較し、様々な観点から分析している。これら8社の共通点は、プラットフォーム思考と、「ビッグデータ×AI」思考である。各社共に、創業者のビジョンを重視することでカスタマーエクスペリエンスを向上させ、競争優位性を高めてきた。一方で、これらの企業が巨大になりすぎたことから、新たなシステミックリスクの可能性を指摘する。

GAFAの発展は企業のマネジメント以外にも、大きな環境変化が起こっているためであろう。高木聡一郎の著書『デフレーミング戦略』(翔泳社・19年)では、パッケージ化されていた商品やサービス等の要素を分解、再編成して、ユーザーニーズに応えることを「デフレーミング」と定義する。ユーザーへの提供価値を個別にカスタマイズしても、一度ソフトウェアで仕組みを実現すれば、追加コストは不要になる。多くのユーザーを惹(ひ)きつけるほどデータが集まり、それをAIの学習データとすることで更なるカスタマイゼーションが可能になる。クラウドコンピューティングの時代にGAFAはこうしてユーザーを増加させてきた。一方で、データの特定企業への集中によって競争優位が長期的に固定化することが懸念される。

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