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Sansanの長谷川嵩さん

Sansanの長谷川嵩さん

クラウド名刺管理ソフトのSansanが導入企業を増やしている。主に中小企業の営業部隊を率いるのが、長谷川嵩さん(29)だ。営業経験なしで中途入社し、いまや社内のエース格に。営業先の立場に寄り添い、サービスが効果を発揮しそうな場面を見つけて採用を働きかける。「売って終わり」ではなく、受注後も社内の担当者らと連携してフォローを欠かさない。

同社は名刺管理を効率化するソフトウエアを販売する。売上高の9割を占める法人向けの「Sansan」は、納入先の社員が交換した名刺をデータ化。人脈や営業履歴などのビッグデータを実際の事業に生かせるよう支援する。導入先は6千社を超えた。

自分の目標後回し

「名刺管理を便利にするシステムというだけでは企業は買ってくれない」と長谷川さんは指摘する。名刺管理を通じて何が実現できるのか。企業の経営課題を一緒に考え「そういえば、あそこで名刺管理が使えそうだな」と気づいてもらえることが大切だ。

例えば、メーカーなら中期経営計画の売り上げを達成するため、新規の営業を強化したいと考える。そこで売り込み先と交換した名刺をどのように管理しているのか、どのように情報を共有しているのかを尋ねると、手作業や口伝えに頼っていることが多い。

ファイルや引き出しにたまった名刺のうち、何割が実際の商談につながりそうか。それを訪問先と同じ目線で考えることが第一歩になる。

その際、何より大切なのは「事前の準備だ」と長谷川さん。1つの商談当たり、少なくとも1~2時間は予習に費やす。目を通すのは企業のサイトだけでなく、中期経営計画から有価証券報告書まで幅広い。業界の商慣習も調べておく。面談の際も、1時間のうち最初の20分は経営状況や事業内容などのヒアリングに当てているという。

営業経験なしで中途入社した長谷川さん。当初は意気込んで1日10件近くを訪問していたが、思うような成果が出せずにいた。なぜか。「お客様のためでなく、自分の目標達成を優先していたことに気がついた」

そこからはあえて「売る姿勢」を捨てたという。同社に資料請求があった企業でも、Sansanのサービスが本来の力を発揮できそうにないと判断すれば「今回は導入メリットが少ないかもしれません」と正直に伝えた。

顧客にとってのメリットを第一に考え始めると、今度は顧客の側に変化が出始めた。2、3カ月もすると結果が付いてくるようになった。

営業は売るだけではない。その意識も強まっている。Sansanの収益モデルは、定額料金を支払ってサービスを継続利用するサブスクリプション。手軽に提供できる半面、利用企業が離れやすい。導入しても解約を防ぐ「攻めのサポート」が求められる。導入先の企業を支援するカスタマーサクセス部門との連携は欠かせない。

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