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ハラル式、もちもち食感 中国・蘭州ラーメン150円

日経MJ

中国全土に広がる「うまい、安い、早い」庶民の味が「蘭州ラーメン」だ。もともとは北西部の甘粛省蘭州市の郷土料理で、イスラム教の少数民族が受け継いできたハラル料理の一種だ。あっさりとしながらコクがあるスープと、もちもちした麺がやみつきになる。価格は地方都市では一杯10元(約150円)、北京や上海でも20元ほど。最近では日本でも店が増えている人気だ。

東北部の遼寧省大連市。馬さん(45)が営む店は1日100杯以上を売り上げる繁盛店だ。大盛りが一杯10元で、お昼時には30分並ぶこともあるという。同市の会社員男性、傅さん(29)は週3回の頻度で通っている。「スープはしっかりうまみがあるのに脂っこくない。麺がとても歯応えがあり、食感がすごくよい」。スープに乗ったパクチーが独特のエスニックな味わいと香りをつける。牛肉とネギ、薄く切った大根との相性も抜群だ。

蘭州ラーメンにはパクチーも乗っている(遼寧省大連市)

「蘭州ラーメンは家族で代々受け継いできた味。数百年前からあるのでないか」と馬さん。調理法はこうだ。スープは牛肉と牛骨、しょうがを入れて煮込む。コショウ、樹皮の一種である「桂皮(けいひ)」など17種類の調味料を加えると完成だ。麺は小麦粉をこね、水を加えてさらにこねる。両手で麺を伸ばしながら形を整えていく。力の入れ方と水の量が重要という。

馬さんは中国西部の青海省出身でもともとトラックドライバーだったが、高速鉄道の普及によって仕事量が減ったため、約10年前にラーメン店主へと転身した。当初は深圳市でやっていたが、3年前に大連市へと引っ越してきた。

馬さんのような中国のイスラム教徒の一部は会社員になるのを好まず、「自由な働き方ができる」と、蘭州ラーメン店の開業が増えていった。個人経営だけでなく、加盟店を募るチェーン店の形式もある。人民日報によると、中国で5万店以上あるという。

東京でも17年以降、神保町にある「馬子禄(マーズルー)」や池袋の「火焔山」などが相次ぎ開業している。「体験したことのない新鮮な味」(30代男性会社員)と評判になっている。飾らない味は日本人の舌にも合うようだ。

(大連=渡辺伸)

[日経MJ 2019年10月28日付]

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