簡単DIY、家財のキズ・破れを補修 3つのポイント
人が集まる機会が増える時期に向け、家の中の気になるキズや破れを補修しよう。見た目の効果が大きく、簡単なDIYで取り組める場所と方法を3つ教わった。
DIYアドバイザーの二宮英児(えいじ)さんが、「意外と簡単にできて、気持ちも変わるのでチャレンジしてほしい」とすすめるのは、ダイニングのイスの座面の張り替えだ。
座面の張り替え 新しい布で覆う
子供のいたずらや食べこぼしで座面が傷んだり、汚れたりしたまま使っている人も多いだろう。毎日使う家族は気にならないかもしれないが、来客にはきれいなイスを差し出したい。
イスをひっくり返して構造を確認しよう。座面がイスの枠にネジで固定されていれば、ドライバーで簡単に取り外すことができる。座面だけの状態にして作業を進める。
プロは元の張り地を完全に取り除いて張り替える。しかし、「元の張り地はそのままにして、上から新しい布で覆うほうが簡単」と二宮さん。
張り替える素材は、厚手の綿や合成皮革など丈夫なものならOK。古着を裁断して利用するのもいい。布の色柄次第で印象は大きく変わる。
必要な道具は、布地を座面に止め付けるための「ガンタッカー」だ。大型のホチキスのようなもので、ホームセンターなどで1000円程度で購入できる。
手順としては、布を座面より10~15センチメートルほど大きく裁断する。次は座面を包みこみながらガンタッカーで布地をとめる。このとき布地をピンと張りながら作業をするのがきれいに仕上げるポイントだ。
さらに表布の切りっぱなしの部分を隠すために、裏布を同様にとめる。張り替え作業はこれで終了。座面をイスの枠にネジ止めすれば完成だ。
2つ目は、壁紙のはがれや破れ。部分的に新しい壁紙を使って補修しようとすると経年変化した元の壁紙と、色や質感が合わないことが多い。
「タペストリーのように、壁紙を壁の上から下までストンと貼ってしまうのがおすすめ」と提案するのはDIY専門店「tukuriba」(東京・世田谷)のDIYアドバイザー、長野恵理さん。あえてその部分だけ色を変えたり、柄のある壁紙にしたりするとアクセントにもなる。
壁紙貼りに必要な道具は、のりを塗るハケや壁紙を切るときに使う「押さえベラ」など。100円ショップでも手に入る。壁紙をぴったりと圧着するとき、プロは空気を抜く「なでバケ」も使用するが、タオルで代用できる。「押さえベラ」は定規で代用できそうだが、カッターで手を切るリスクがあるので、必ず持ち手があるものを使う。
最近はビニール壁紙の上から貼ることができ、後ではがせる壁紙とのりがあるという。「これなら賃貸住宅でも模様替えができて、原状復帰が可能」と長野さん。壁紙は1メートルで700~1000円程度、のりは1500円程度だ。
実際に、この壁紙を貼ってみた。市販の壁紙の多くは巾が90センチ前後だが、この壁紙だと50センチ前後で幅が狭く扱いやすい。また、のりを壁紙ではなく、壁に塗ることができるので、スムーズに作業できる。貼ったときにずれたりした場合に、直後ならはがして貼り直せるのも利点だ。
浅いこすれには染料系のペンで
3つ目がフローリングのキズ。「最初は部屋の隅など目につきにくい場所で試し、慣れてから目立つ場所を補修しよう」とアドバイスするのは「東急ハンズ渋谷店」補修剤売り場の稲垣浩之さん。補修剤はキズの種類によって使い分ける。
「こすれたキズやひっかきキズは、染料系のペン(500円程度)で塗るのが最も簡単」と説明する。広い面積のキズは幅広のスポンジタイプ(2000円程度)がおすすめ。いったん塗って乾かした後、「ワックスをかけると色持ちがよくなる」という。深いキズや陥没したキズは、クレヨンタイプ(500円程度)の補修剤を埋め、目立たなくする。
クレヨンタイプはドライヤーで温めてやわらかくして使う。「専用のハンダゴテで溶かすタイプは、よりきれいに補修でき、耐久性にも優れている」と稲垣さん。床暖房のフローリングの場合は、専用のものを使ったほうがよい。
気になるところから補修すれば、家族も毎日、心地よく過ごせそうだ。
(ライター 土井 ゆう子)
[NIKKEIプラス1 2019年10月26日付]
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