店内で食肉加工、食通もうなる本格肉料理 大阪・梅田
食肉加工機械の製造販売を手掛けるなんつね(大阪府藤井寺市)は9月、大阪市内に肉の総菜店「ミートデリ・ニクラウス」を開いた。店頭販売、デリバリー、店内飲食とそれぞれの用途に合わせて利用できるのが特徴の新しい店だ。大阪・梅田周辺の若者やプロの肉料理を求める食通たちを取り込む。
同店では食肉加工品全般を指す「シャルキュトリ」を主に取り扱う。ハム、ソーセージ、パテ、テリーヌなどの総称で多くは豚肉を原料としている。使用する肉、部位や調理法によってさまざまな種類があり、フランスでは数百種類があるともいわれる伝統的な食文化の一つだ。商品は購入後、店内で食べることもできる。
店舗は2階建てになっており、1階がイートインスペースと物販コーナー、キッチンで構成されている。2階は食肉加工スペースとなっており、海外から取り寄せた機械設備の数々が並んでいる。同店で取り扱う食品のほとんどはこのスペースで作られており、作りたての商品をすぐに顧客に届けることが可能になっている。
イートインの席数は30席で肉料理が目当ての30歳代以上の顧客が多いという。午後5時以降はレストラン形態として運営する。
ニクラウスには2017年にフランスで開かれたシャルキュトリのコンクール「パテ・クルート世界選手権」で2位を受賞したシャルキュティエ(食肉加工技術を持つ職人)の阪口義朗氏が在籍する。
阪口氏は大学を卒業後、料理の道に飛び込み、パリや北海道の星付きレストランでフランス料理の研さんを積んできた。その阪口氏が中心となり2階の加工スペースで独創的な作品を生み出し食通をうならせる。
提供するのは、ピスタチオと肉の赤身、フォアグラの色合いが美しいパテ「パテアンクルート・ド・コション」(100グラム税別1100円)や「テリーヌ・トゥキャナール」(100グラム1500円)のほか、ハムやソーセージを含む約30種類のシャルキュトリと、レストランメニュー約20種類。阪口氏は「ぜひ肉料理とワインを合わせて楽しんでほしい」と話す。
なんつねは日本で初めてミートスライサーを作り出した食肉加工機械メーカーで、今年で創業90周年。機器の販売・設計だけでなく、精肉店の厨房設計から商品企画までをサポートする。飲食店の運営に乗り出した理由を営業本部の大西由華さんは「自ら肉の消費量を増やすことで、主な顧客である精肉店を支援していきたい」と説明する。
近年、小売りと外食の融合業態「グローサラント」が人気を集めるなか、こうした食品加工から物販、飲食までを兼ね備えた新しい食料品店が広がっていきそうだ。
(下野裕太)
[日経MJ2019年10月23日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。
関連企業・業界