ダニアレルギーのピークは秋 換気・加熱…5つの対策
ダニに注意するのは「梅雨から夏だけ」と思い込んでいませんか。実はダニのアレルギー症状が出るのは、夏より秋。今の時期が、対策をとるのに適している。
チリダニ、ツメダニといった一般的な住まいに潜むダニは温度25~30度、湿度70%以上といった環境を好む。例年、東京は7月から9月にあたるが、今年は10月も25度を超える日が続いた。
アレルゲンの量 晩秋に最も増加
ダニの寿命は3カ月ほどだが、1匹が100個ほどの卵を産む。何の対処もしないとあっという間に増殖し、フンや死骸が蓄積。このフンや死骸のかけらが、鼻や皮膚が炎症を起こすアレルギー性疾患の原因「アレルゲン」になる。アレルゲンの量のピークは今年は晩秋、まさに今からになりそうだ。
体長0.3ミリメートル程度のダニは「いる」と言われても見えにくいため実感が薄い。「本当に我が家にいるの?」と半信半疑で、対処が後手になっているかもしれない。
筆者の家庭にはアレルギー検査を受け、チリダニに感作しやすいと診断された家族がいる。対策を怠るとアレルギー症状が出てしまう。しかし具体的にどの場所に生息しているかが分からないため、場当たり的に対処してきた。
そこで、自宅に潜むダニを数字で確認しようと考えた。ダニ目視器を使い9月に家の各所に設置。2週間後に回収し、メーカーの協力でダニの数と種類を測定してもらう機会を得た。
結果はソファからチリダニが16匹。子供の枕元からはチリダニ68匹とツメダニ8匹の2種類で計76匹。夫の枕元ではチリダニ42匹を数えた。押し入れにしまっていた冬の掛け布団からも2種類、計73匹。普段持ち歩く布製のリュックに潜んでいたのは驚いた。
メーカーによると、我が家の寝具は平均より多いということだった。子供の寝具はそれよりも多いレベルで、ツメダニが出るのは、10軒に1軒程度という。
もちろん、実際に我が家に生息する数を考えればごく一部にすぎない。他の家庭と比べて多い、少ないなどと比較はできないが、それでもどこに、どのように繁殖しているかの目安にはなった。
例えば、筆者の枕元から計13匹が見つかったが、体温が高く、汗かきな子供や夫の寝具で、より活発にチリダニが繁殖していた。押し入れのチリダニが増えている環境ではチリダニを捕食するツメダニが増えることも分かった。
お下がりの衣類 汚れが多く注意
今からでもダニの繁殖を防ぎ、アレルゲンとしての総量を減らさなくてはならない。集中的にする対策は5つだ。
まずは換気。気密性の高い住まいではどうしても換気が行き届かず、ダニが繁殖しやすくなる。湿気を逃し、空気中にあるホコリやちりを屋外に排出。ダニのエサを減らす意味でも1日2回の自然換気と24時間換気をしたい。寝室を含め、室内の湿度は60%を超えないように意識する。
洗濯も重要だ。布についたダニのフンや死骸は流し落とせばよい。就寝時に触れるシーツや毛布、布団カバー、枕カバーなどはダニのエサになる皮脂やフケがたまりやすい。理想は毎週、少なくとも1カ月に1度は洗濯したい。
また、収納したままの寝具などにもダニは発生する。特にきょうだいの上の子の服を下の子用に保管する場合、残留汚れが多いので要注意。
そして、加熱。ダニは60度の熱で死滅する。薬剤に抵抗があるなら加熱をすればよい。しかし、真夏の猛暑下でもない限り布団の天日干しでは加熱したことにならない。洗濯乾燥機や布団乾燥機、アイロンなどを使いたい。
確認しておきたいのが、掃除だ。掃除機がけは室内や寝具の表面からダニのフンや死骸を除き、減らせるが、間違えるとアレルゲンをまき散らしかねない。排気でホコリを舞い上げないこと、掃除後は換気することが肝心だ。
また、生きているダニは、掃除機で吸い取ろうとしても布などにしがみつく。ゴキブリ捕獲器のように誘引剤でおびき寄せる仕組みのダニ捕獲器を併用するとよい。
ダニはデンプンやうまみ成分がある小麦粉やカツオ節、こんぶなどの乾物に潜むこともある。気になる人は考えられる場所に、それぞれ対策を講じよう。
(住生活ジャーナリスト 藤原 千秋)
[NIKKEIプラス1 2019年10月19日付]
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