スーパーや百貨店はなぜ不振? 店も客も高齢に

田中さん はい。百貨店もGMSも売上高が伸びていたのは日本の大衆消費社会をリードしてきた団塊世代が30代から50代だったころです。その団塊の世代は70歳前後となりました。商業統計調査では百貨店とGMSの年間販売額(売上高)がバブル崩壊後にピークをつけたのは97年でした。経済活動を担う生産年齢人口(15歳以上65歳未満)のピークとほぼ重なります。

花子さん ディスカウントストアのドン・キホーテ(社名はパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)は営業利益が30期連続の営業増益だそうですね。平成の時代はずっと成長してきたことになり、GMSや百貨店とは好対照ですね。若い人はドンキでの買い物を楽しんでいるようにも見えます。

田中さん ドンキは多くのGMSや百貨店のアンチテーゼのようにも思えます。GMSの品ぞろえはどこの企業もほぼ同じです。同質化してしまうと価格競争に陥ります。しかし、従業員が高齢になり店舗も重装備で維持費がかかり、価格競争にも限界があります。ローコスト経営にたけたドラッグストアやディスカウントストアには太刀打ちできません。

花子さん 独自色を打ち出すのは難しいのですか。

田中さん 商品で独自色を打ち出すには製造の現場まで踏み込んで、競合店にない商品開発をすることになります。いわゆるSPAと呼ばれる製造小売りのビジネスモデルです。無印良品やユニクロ、ニトリなどがそれです。しかし、GMSや百貨店は長年、問屋依存の商品仕入れをしてきたことで、SPAに本格的に踏み込めませんでした。

SPAでは商品が売れ残っても返品できません。退路を断ったビジネスモデルなのですが、問屋依存では返品は比較的容易にできます。リスクを取る覚悟がなかったことになります。

従来型の小売業では人事制度にも課題があったかもしれません。特定の部署に長くいさせずに専門的な商品知識をもった人材の育成がおろそかになっていたことも遠因だと思います。

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