限定スニーカーに長い行列 ABCマートの原宿旗艦店

日経MJ

2019/10/16付
開店前には数百人が列を作ることもある
開店前には数百人が列を作ることもある

エービーシー・マートの大型店「グランドステージ原宿店」が絶好調だ。もともと人気だった既存店を改装し、海外ブランドのスニーカーを前面に出した店に衣替えした。店舗限定で販売する商品の展開や、「コト消費」を意識した撮影コーナーなどの集客策が奏功。商品の受け取りロッカーといった新たな取り組みも進め、改装前の売上高伸び率で2桁を上回るペースで推移している。




■ナイキやアディダスなどの限定モデル

午前10時の東京・原宿の明治通り。神宮前交差点を北に少し進むと、数百もの人が、長い列をなしてグランドステージの店前に並んでいた。

先頭に立つ眠たげな顔の青年に声をかけると、「朝6時から並んでいます」と笑う。中国からやってきたという彼が、早起きして並ぶ理由は何か。「限定のスニーカーです。抽選券をもらうためにみんな並んでいます」

同店でしか手に入らない限定品は、国内外から来店客を集める「キラーコンテンツ」だ。米ナイキや独アディダスなど海外ブランドの限定モデルを求め、開店前から多くの人びとが来店する。実際に足を運んでくれる顧客を大切にするため、電話での取り置きはせず、ネット通販では取り扱わない。「有名アスリート着用の限定モデルだと、数百人が列を作ることもある」(エービーシー・マート)という。

限定品以外にも、店頭には「ABCマート」など他の店舗では取り扱いのない上位モデルのスニーカーを多く並べた。「いい靴がある店として、海外に発信している」(同)。限定モデルを買えなかった訪日客が、代わりに高級モデルを買っていくことも多いという。

■試着したスニーカーで記念写真を撮れるスペースも

商品以外でも、通常店にはない新しい試みを進める。スニーカーを試着し、そのまま記念写真を撮影できるスペースを作った。店頭にない商品を取り寄せ、その場で受け取れるロッカーを店内に設け、今後、稼働させる方針だ。

エービーシー・マートは2019年3月期から大型店「グランドステージ3.0」の展開を強化している。18年11月に開いた原宿店を含め現在19店舗を運営し、通常店に比べ高価格帯の商品を中心に、幅広い品ぞろえで支持を集める。原宿店の平均客単価は他の店に比べて5割高く、店舗改装後も目標を上回るペースが続いている。

ファッション通販サイト「ゾゾタウン」で購入する人が増えるなど、衣料品業界ではネット勢がリアルを駆逐する構図が続く。オンワードホールディングスが全世界で600店の閉鎖を決めるなど、小売店にとっては逆風が吹き荒れる。

一方でサイズやフィット感が重要な靴市場では、接客を受け試着できる実店舗の需要が高い。「アスレジャー」ブームも追い風に、エービーシー・マートの業績は好調に推移する。今後も限定品や「コト消費」を重視した大型店を強化し、国内外でファンを獲得していく狙いだ。

(堺俊平)

[日経MJ 2019年10月16日付]

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