化粧品の魅力を実演で浸透 勉強会でやる気に富士フイルムヘルスケアラボラトリー 近野史子さん

富士フイルムヘルスケアラボラトリーの近野史子さん
富士フイルムヘルスケアラボラトリーの近野史子さん

富士フイルムヘルスケアラボラトリーの近野史子さん(35)は自社の化粧品を店舗で優先して扱ってもらう営業を担う。現場を歩いて店側のニーズをつかみ、商品の強みを実演で訴える。近野さんのチームが担当している小売店の上位10軒の合計売上高は昨秋、前年同期比で2倍に増えた。売り手の目線に合わせたコミュニケーションで、彼らのやる気に火を付けている。

「女性って、こんなに幸せそうな顔をするんだ」。大学時代のある経験が近野さんの人生を変えた。当時は管理栄養士をめざしており、病院実習の機会があった。

その際、化粧をしてもらった女性を見て気がついた。「ご飯を食べたときより、うれしそうだった」。その経験が強く印象に残り、化粧品販売の道を志した。

技術をアピール

富士フイルムは写真フィルムで培った技術を生かし、「アスタリフト」ブランドの化粧品を展開する。近野さんは大学卒業後に化粧品会社で営業をしたが、同社のように研究力をアピールしたブランドではなかった。転職して以降、技術力の高さを生かした営業手法を模索してきた。

小売店などに対する勉強会では、商品の特長を実演して伝える。例えば日焼け止めではプレートに製品を塗り、紫外線を当ててどれだけ防げているかを比較する。近野さんは「いくら技術力が高くても伝わらなければ意味がない。いかに分かりやすく、『自分ごと』と思ってもらえるかを意識している」と話す。

勉強会を開くようになったのはきっかけがある。「これはどんな商品ですか」。16年春の休日、客として訪れた店で富士フイルムの商品について店員に尋ねた。近野さんは商品の特長を説明してもらえると期待していたが、返ってきたのは「日焼け止めです」という答えだけだった。

「販売員に商品の魅力をもっと知ってもらえていたら……。私がちゃんと伝えなければ」。以前から店舗の責任者や専門的な接客を担うコンシェルジュが対象の研修はあった。だが現場の販売員まで浸透していないのが課題と気づいた。近野さんは研修の対象を広げて勉強会を始めた。内容は自ら考えた。

近野さんの持ち味は相手に合わせて話し方を変えるコミュニケーション力だ。入社して半年がたった頃、ある小売店企業に対してアスタリフトの販売を強化してもらおうと提案説明をした。

近野さんはこの企業が都心部の駅周辺に店を構えることに注目した。富士フイルムの製品が同じような立地で売り上げが高くなる傾向をデータで示し、理解を得た。

責任者に対してはデータを使って論理的に伝える一方、店舗担当者には現場目線で話すことが多い。まずは相手の話をよく聞き、何に困っているかを把握する。「客単価を上げたい」という要望があれば、アスタリフトの化粧水を勧めるための接客方法を勉強会や資料を通じて伝える。

「相手が母世代なら娘のように、新入社員なら姉のように接する」という。

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