掛けてつるして収納上手 しまう手間なく掃除も楽々
毎日使うモノが散らかってしまうという人は多いだろう。収納スペースがないと悩むなら壁を利用して掛けたり、つるしたりしてみては。台所や玄関、洗面所などで応用するコツを教わった。
整理収納アドバイザーの能登屋英里さんは、壁にモノを掛けたり、つるしたりする収納法をフル活用している。
壁に掛けるのはよく使うものを
例えば、台所。ガスや作業台の壁に取り付けたバーに、S字フックを掛けて下げているのは、毎日使うフライパンやフライ返し。同じくバーにフックをかけて、お玉や泡立て器、生ごみを入れるビニール袋を引っかけている。
玄関には木製の1点フックで子どもや自分のカバンをつるす。洗面所にあるタオル置きにはクリップで挟んだ歯磨きチューブと、フック付きの化粧ポーチをつるし、毎朝身だしなみを整えている。
収納スペースが狭い、棚や引き出しなどにしまうのが面倒という理由で、モノを使ったらそのまま直置きしてしまうときがあるだろう。散らかっていると、必要なときに探す手間や、まとめて片づけるのに時間がかかる。以前から、突っ張り棒を渡して掛ける収納法はあったが、能登屋さんは「最近は時短という観点から『掛ける収納』に注目が集まっている」と説明する。
まず、掃除がしやすい。掃除機を掛けたり、台の上を拭いたりするにはモノを移動させなければならない。掛けたりつるしたりすれば、その手間が不要。また、必要なときに一目で場所が分かり、サッと手に取れるうえ、しまうときも掛けるだけ。引き出しにしまうよりは簡単にできる。
もちろん、モノが丸見えになるという問題はある。そのため、掛けたりつるしたりするモノの数を絞り込む必要がある。能登屋さんは「壁に掛けるのは1軍、よく使うものに絞る」とアドバイスする。ホコリが気になるが、「毎日使うものにはつかない。ホコリが積もるようなモノは引き出しにしまう」という。
掛けたりつるしたりする収納で使うのはS字形やマグネット付きフックのほか、タオルハンガーなどのバー、棚受け金具、壁掛け棚、ワイヤパネル、有孔ボード、突っ張り棒など。ホームセンターやDIY専門店などで入手できる。
フックや棚など 色や形そろえて
種類が豊富で迷う人もいるだろう。内装建材をインターネット販売するTOOLBOX(東京・新宿)の梅川紗季さんは「何を、どこに掛けるか。モノと場所を考えて、どう使うかイメージすると必要なグッズの形や大きさ、数などがわかる」と助言する。
能登屋さんは「初めてでも取り入れやすいのはタオルバーとS字フックを自分で組み合わせる方法」という。バーにフックが固定されているタイプもあるが、これだとフックの間隔とモノの幅が合わないことがある。個別に組み合わせれば、調整ができる。
フックやバーは壁に取り付けることがある。「ねじを打ち込める下地を探して、しっかりと固定すること」(梅川さん)。タイルやコンクリートにねじを打つには技術が必要なので工務店や内装業者などに頼むほうがいい。
壁にねじが打てない場合も方法はある。能登屋さんは無印良品の「壁に付けられる家具」を使う。石こうボードの壁に専用ピンで留めて取り付ける棚やフックがある。穴が目立たずにすむという。
フックを掛けられる「壁」を作るのも手だ。突っ張り棒や、突っ張り金具をはめ込んだ木材を天井と床に突っ張らせ、ワイヤネットや有孔ボードを取り付ければワイヤや穴にフックを掛けられる。
突っ張りは壁や天井の強度やその場所が平らであることを確認して設置する。「安全のために時々、金具に緩みがないか点検を」と梅川さん。
見た目にもすっきりさせたいなら、フックやバー、棚など素材や色、形、大きさをそろえること。飾りがなく、定番商品で追加購入ができるものや何通りにも使えるグッズを選ぶと、台所や洗面所、玄関など、場所を選ばず使い回せる。ただし、掛けたりつるしたりする収納はモノの重さに限度があることに要注意。
壁を利用すると収納スペースが広がる。まずはフック1つから始めてはどうだろう。
(ライター 奈良 貴子)
[NIKKEIプラス1 2019年10月12日付]
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