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ほうじ茶ラテがおいしいコインランドリー 静岡・浜松

日経MJ

明るくて開放的な店内は、思わず長居したくなる
明るくて開放的な店内は、思わず長居したくなる

「カフェドリンクがおいしいコインランドリーがある」――。浜松市に出張した折りに、そんな情報を耳にして、寄り道をした。その店は浜松市のJR高塚駅から車で5分の場所にあった。店名は「LAVANO高塚店」で、建設会社の寿建設(浜松市)が運営する。

大きなガラスとナチュラルウッドを使った白い建物は、どうみてもおしゃれ系カフェにしか見えないが、店内に入ると、店の半分はコインランドリーがずらりと並んでいる。聞けば2018年にグッドデザイン賞を受賞しているというから納得だ。

店舗はコインランドリーの面積が26平方メートルでカフェが30平方メートル、合計で56平方メートルだ。売上高はコインランドリー部門が月商約100万円、カフェ部門で30万~40万円だ。カフェ部門だけの売り上げをみると迫力に欠けるが、地代の安い地方の郊外店と考えれば優秀だと感じる。

東京都内などではコインランドリー併設のカフェを見かけるようになったが、この店のオープンは16年12月。このスタイルの嚆矢(こうし)と言える店だ。

気になっていたカフェメニューから、「アイスほうじ茶ラテ」(税別360円)と、「LAVANO オリジナルカレー」(同720円)を注文した。ほうじ茶ラテは「ビター」と「スイート」が選べ、筆者はビターを選んだ。

手前から「LAVANO オリジナルカレー」と茶葉を厳選した「ほうじ茶ラテ」

このほうじ茶ラテは、一口飲むと香ばしいほうじ茶の香りが鼻腔(びこう)を抜け、適度なミルク感とマッチして、とてもおいしい。カレーはトマトの酸味が食欲を増し、添えられた温野菜との相性もいい。これならカフェ目当てでお客が集まるのも納得だ。

提供メニューについて鈴木勢人店長は、「共働き世帯の増加や、気象変動でコインランドリー利用者は増えているので注目していた」と話す。コインランドリーは信頼できる国産メーカーの協力があり、設置のメドがたったが、競合店も多い。

「そこで、個性を際立たせるためにおいしいメニューが食べられるカフェを併設した」(鈴木店長)。鈴木店長は各地の有名店を訪ねるほどカフェ好きで、その経験をメニューづくりに生かしたという。

この業態はスタッフの効率化にも有効だ。同店の営業時間は午前10時から午後6時で、基本的に1人のスタッフで回している。このカフェスタッフはコインランドリーの操作説明や清掃も兼ねている。

鈴木店長によると、コインランドリーをまだ利用したことがないという人は多く、その理由の多くが「無人店だと敷居が高い」から。カフェを併設することで、最小限の人員で、コインランドリーの客の集客にも成功している。

同社では、コインランドリーのフランチャイズチェーン(FC)展開もしている。すでに静岡県内でコインランドリー店が2店舗ほど稼働しており、LAVANOをモデルにして近々にカフェ併設型もオープンするという。

筆者は料理以外の家事が苦手。だからこそ、洗濯がはかどり、食事も楽しめる、こんなスポットが近くにできないものかと考え帰路についた。

(フードジャーナリスト 鈴木桂水)

鈴木桂水(すずき・けいすい)
フードジャーナリスト・食材プロデューサー。美味しいお店から繁盛店まで、飲食業界を幅広く取材。“美味しい料理のその前”が知りたくて、一次生産者へ興味が尽きず産地巡りの日々。取材で出会った産品の販路アドバイスも行う。

[日経MJ 2019年10月11日付]

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