シチズン「ブローバ」 NY生まれ前面に、20代が支持

日経MJ

シチズンが販売する「ブローバ カーブ」
シチズンが販売する「ブローバ カーブ」

シチズン時計は傘下で米国発の腕時計ブランド「ブローバ」で国内に攻勢をかける。1世紀の歴史があるブランドにもかかわらず、日本での認知度はいまひとつ。そこで、10万円前後の手ごろな価格と、スイスでも日本でもない「アメリカン」ウオッチであることを前面に出し、販路も拡大。若年層の開拓につながり、2020年3月期の売上高は前期比2倍を見込む。




■北米では高い認知度、日本では「知る人ぞ知る」

ブローバは1875年に米・ニューヨークで誕生した。1960年に音の共鳴実験に使う「音叉(おんさ)」の振動で月差1分以内の誤差に縮めた「アキュトロン」を発売し、世界的な知名度を上げた。2008年にシチズンが288億円で買収した。

シチズンはその後、買収したスイスの「フレデリック・コンスタント」や「アーノルド&サン」と併せ、海外で存在感を高めるためのグローバルブランドの1つになった。フレデリック・コンスタントが20万円前後、アーノルド&サンが最低価格が100万円程度、最高では上位モデルで2千万円ほど。

ただ、北米では高い認知度も、国内では鳴かず飛ばずが続く。スイスの高級腕時計を好む層に、ブローバの価格帯やデザインが響かなかったためだ。

また「舶来モデル」というブランドイメージを重視する余り、販路を絞っていた。広告も時計専門雑誌などに限っていた。結果として「スイスでも日本でもない特徴的な形、手ごろな価格」と中途半端な存在になってしまった。

そこでシチズンは4月から海外ブランド営業部から国内時計営業部門に事業を移管。販路も海外時計専門店や百貨店から、ファッションビルやネット通販にも広げることを狙った。「知る人ぞ知るブランドをやめ、マス(大衆)に売っていく」。国内時計営業を統括する三浦美男執行役員は理由を明かす。

■北欧モデル好む若者層の目に留まる

シチズンの旗艦店内にあるブローバ売り場(東京都中央区)

10年ぶりとなる方針転換の成果は、半年ほどで出てきた。シチズンの主要顧客は30~40代だが、ブローバは20代が主力だ。こうした層はスウェーデン発の「ダニエルウェリントン」など、シンプルさが売りの北欧モデルを好む傾向がある。販路を広げたことで若年層の目に留まり、「2個目需要」として買われるようになってきた。

4~8月の売上高は前年をプラスで推移する。19年度中には現在200ある品目数を半分程度に厳選。売れ筋に絞ることで効率化を進めるとともに、「(売上高を)倍々で増やしていきたい」(三浦執行役員)と意気込む。

ブローバがライバルに据えるのは「ハミルトン」だ。現在はスイスのスウォッチグループ傘下だが、ともに米国で誕生し、日本での知名度はブローバの先を行く。

それでも「北米での認知度ではシチズンとブローバが並ぶ。日本でもできるはずだ」(三浦執行役員)。ブローバが重要な腕時計市場である日本を攻略できれば、文字通りの「グローバルブランド」になると言えそうだ。

(佐伯太朗)

▼1875年、米ニューヨークのマンハッタンに、創業者のジョセフ・ブローバが宝飾店を開いたのが始まり。1912年にはスイスにも工場を設立した。41年に世界で初めてテレビCMを流した。70年には米国初のクオーツ式腕時計を発売。2016年には現在の代表モデルの1つ「カーブ」を発表している。

[日経MJ 2019年10月4日付]

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