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薬併用で転倒や物忘れも 「医師任せにしないで」 脱・多すぎる薬(上)

2019/10/2付 日本経済新聞 夕刊

転倒や物忘れなど高齢期に多い症状が、多数の薬の併用で引き起こされているケースがある。加齢とともに複数の病院にかかり、それぞれ処方されると、服薬の全体状況がつかめない。病院、薬局、患者の連携が必要だ。

高齢になると自然に薬が増える(都内に住む90歳の女性)

「痛み止めの薬をやめたら、症状が一気に改善した」。こう語るのは奈良県に住む女性(69)だ。頭痛や胃が痛む症状が出て、胃カメラなどの検査を受けたが原因は不明。それでも胃薬を処方され、不安になって奈良県三郷町のやわらぎクリニックを訪れた。

女性は関節リウマチや高血圧の持病があり6種の薬を服用していた。リウマチの痛みはほぼ消えており、クリニックの指導で20年以上服薬していた消炎鎮痛剤などをやめて3種類にした。頭痛や胃痛はなくなり、降圧剤を半減したにもかかわらず血圧が下がった。

やわらぎクリニックの北和也院長は「長年服用してきた薬でも体調を崩すケースもあり常時見直す必要がある。必要のない薬を多数服用すると副作用が出ることもある」と言う。

持病を持つ高齢者が多くの薬剤(通常5~6種類以上)を服用することで健康を損なう「ポリファーマシー(多剤服用)」が問題になっている。2018年に厚生労働省が「高齢者の医薬品適正使用の指針」を出し、高齢者に投与する場合に注意すべき薬物のリストを記載した。不要な薬代は、患者にとって意味のない経済的負担になり、国民医療費の無駄遣いにもなる。

しかし、多剤服用の解決は容易ではない。「通常は各診療科の医師がそれぞれの診療ガイドラインに沿って忠実に処方している。ただ、診療科間の情報連携がないため、不要な薬を処方されたりしてしまう」(北院長)からだ。

認定NPO法人「ささえあい医療人権センターコムル」(大阪市)の山口育子理事長は「患者は医師任せにするのではなく、薬の目的や、どのような状態になれば薬の処方が終了するのかしっかり確認する必要がある」という。

ただ、患者が医師に詳細に問い合わせる時間を確保するのは難しい面もある。NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」(東京・新宿)の樋口恵子理事長が高齢者に服薬管理はだれがしているかアンケート調査したところ、大半は「自分」という答えだった。服薬状況が適切かどうか把握するには、家族や介護士などのフォローも重要になる。

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