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箸で卵黄混ぜ、食べ方日本流 納豆スパゲティの専門店

日経MJ

2019/9/27付

納豆すぱと焼酎。大盛はプラス190円。アテの赤いもポテサラ漬け卵黄付きは400円

豚骨ラーメンや博多うどんなど、ご当地麺類の本場、福岡で新しい名物が生まれた。

福岡市早良区西新にある「納豆すぱとちょい呑(の)み焼酎 ずばばば」は、なんと納豆スパゲティの専門店だ。筆者は納豆スパというと、パスタにたれを混ぜた納豆をかけただけ、というイメージがあったが、この店の「納豆すぱ」(並650円、10月より690円)を食べたときは衝撃が走った。

同店の納豆すぱには熟成させた豚肉、ニンニクを使った白ワインベースのソースに納豆を絡め、トッピングにのり、小ネギ、粉チーズと独自の醤油(しょうゆ)だれに漬け込んだ卵黄がのる。これをフォークではなく箸をつかって、よく混ぜ合わせて“ずずっ”とすする。納豆の粘りと卵黄が合わさって、適度な粘性のあるソースになり細めのパスタによく絡む。

ニンニクと粉チーズ、納豆の風味が重なり、複雑なうま味を感じる。卵黄が入っているので、和風カルボナーラ的な雰囲気もある。未体験だが確実に胃袋をつかむ味に、箸が止まらなくなる。

パスタよりもソースが多めになっており、追加で「だし炊き追いメシ150円」を注文すれば、クセになるソースを最後まで食べきれる。

オーナーシェフの松本亮兵さんは洋食のシェフだったが、独立開業するにあたりメニューを模索した。「とにかくラーメン好き。しかし、好きだからこそラーメンでの開業は難しいと考え、得意な洋食をベースにラーメンのように手軽でおいしいメニューはないかと考えた」。そこで思いついたのが家で好評だった「納豆すぱ」をメインにした業態だ。

その狙いは的中し6月のオープンながら、カウンター8席、テーブル席2席の店内は満席が続き、昼時には行列ができるほど盛況。取材時には、8割が女性客だったのが印象に残った。

取材時にはほとんどが女性客。今後、営業時間は変更の可能性があるという

営業時間も個性的だ。「朝ラーメンのように利用してほしい」と朝8時からオープン。売り切れか、もしくは午後5時には閉店する。

早じまいにもかかわらず、店内の壁一面には希少な焼酎類がズラリと並ぶ。「とにかく焼酎が好きで、十数年かけて、500以上の銘柄を飲んできた」とほほ笑む松本オーナー。こうした希少な焼酎はグラス250円(10月より290円)から楽しめ、手作りのアテも用意されている。混雑時を避けて、昼飲みを楽しんでもよさそうだ。

同店の「納豆すぱ」を食べてみて、食後感がラーメンのそれに似ていると感じた。福岡県は300円前後で豚骨ラーメンが食べられるラーメンの激戦区。どう考えてもラーメンの利幅は薄い。うどんも同じくだろう。

しかし、パスタなら前者と競合せず、乾麺なので廃棄ロスがないのでメリットは多い。この地で勝負するなら、ラーメンやうどんよりチャンスがあると筆者は感じた。

パスタの新潮流になり得る同店の「納豆すぱ」は麺好きならおさえておきたいメニューだ。

(フードジャーナリスト 鈴木桂水)

鈴木桂水(すずき・けいすい)
フードジャーナリスト・食材プロデューサー。美味しいお店から繁盛店まで、飲食業界を幅広く取材。“美味しい料理のその前”が知りたくて、一次生産者へ興味が尽きず産地巡りの日々。取材で出会った産品の販路アドバイスも行う。

[日経MJ 2019年9月27日付]

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