「懐に入る力」信頼つかむ 打ち切り契約も復活郵船ロジスティクス 老沼祐太さん

郵船ロジスティクスの老沼祐太さん
郵船ロジスティクスの老沼祐太さん

日本郵船グループで混載貨物(フォワーディング)を手掛ける郵船ロジスティクスは、メーカーや小売業者の貨物の国内外への輸送を代行する。東日本第二営業本部の産業第二支店で自動車や航空機を担当する老沼祐太さん(32)は、現場担当者からも話を聞き、新たな事業の芽を見つけてくる“発掘力”に定評がある。

老沼さんは以前、大手衣料品会社の三国間輸送を任された時に成長を見通すことの重要さに気づいた。荷主企業の製品開発や販売網拡大のプロセスを学ぶなかで、「このサイクルを押さえられれば、どんな企業からでも契約を取り続けられる」。

「15年続く取引に」

大手自動車メーカーの完成車輸送は将来を見越してまいた種が実った好例だ。このメーカーから「試作品の輸送をやってみないか」と持ちかけられた時、「これは5~10年、いや15年は続く取引になるかもしれない」と直感した。

試作品輸送を手掛ければ、メーカーが新型車を開発する端緒がつかめるようになり、その後の部品輸送、完成車輸送にまで早めにアプローチできるようになる。一方で情報漏洩や輸送中のキズ、紛失による責任も重く、当時は手掛けたがる物流業者が少なかったと振り返る。

社内からは「リスクをどう負うのか」「機密情報の取り扱いはむずかしい」といった反発が出たが、「このまま部品を輸送しているだけでは業績は頭打ちになる」と説いて回り、契約にこぎ着けた。しかし、最初の輸送で部品を一つ紛失する。最終的には見つかったが、「郵船さんには難しかったですかね」と言われ、契約は打ち切りになった。

だが、老沼さんは諦めなかった。毎月、工場を訪ねて担当者から部品などの詳細を聞いて回った。その知識をもとに臨んだプレゼンで契約を取り戻した。「今後のこともあるので最初は厳しくしたんだよ」。実は紛失が一つだけだった点をメーカーは評価していたのだという。失態から1~2年後に真相を聞かされた老沼さんは新規契約開拓の難しさを改めて痛感した。

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