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ナイキ原宿 気になった商品の在庫、アプリで即確認

Hot Zone

2019.9.25

米ナイキの日本法人、ナイキ・ジャパン(東京・港)は7月、旗艦店「ナイキ原宿」(東京・渋谷)を10年ぶりに改装した。スマートフォンアプリと連動した在庫の確認やクーポン配信など、実店舗とデジタル技術を融合。販売員の業務負担を軽減してよりきめ細かなサービスを提供し、東京五輪を控えて増えるインバウンド(訪日外国人)需要の取り込みを急ぐ。




■会員向けに販売員が似合う靴や服提案

周辺に有力ブランドがひしめくJR原宿駅(東京・渋谷)から徒歩3分に位置するナイキ原宿。2009年に日本初の直営旗艦店として表参道沿いに開き、3階建てで1500平方メートルの面積で国内最大級の店舗だ。

このほど大規模な改装を施して再オープンした。改装前に10回以上来店したという20代の男性会社員は「雰囲気がガラッと変わった」と驚いた様子で話す。

改装で最も力を入れたのは、ナイキの公式アプリと実店舗を連動させた点だ。

これまで在庫確認は店舗に直接電話する必要があったが、店舗の80キロメートル圏内にいれば、アプリによってリアルタイムで把握できるようになった。気になった商品は1泊2日で取り置きも可能だ。木村亜理沙店長は「(以前は)1日100件以上あった在庫確認の電話が80件程度になった。認知が進めば、さらに減りそうだ」と効果を話す。

販売員の確認作業が減ったことで、新たに「エキスパートセッション」というナイキのオンライン会員向け接客サービスも始めた。

このうち、スポーツを快適に楽しみたい消費者向けサービス「ギアアップ」では60分間、販売員が付きっきりで客に合う靴や服を提案する。ランニングの目標設定や最適なトレーニングのメニュー相談にも応じるほか、店内で実際に走って履き心地を確かめることもできる。

■客の半分が外国人、インバウンド需要に対応

アプリ連動でインバウンド需要にも対応する。ファッションやコーディネートが相談できる「ショップ・ウィズ・ア・スタイリスト」では、英語と中国語にも対応する。木村店長によると、同サービスによって買い上げ点数が1人当たり4~5点に増えたという。

同店は代々木体育館や国立競技場にほど近く、来店客のうち半分が外国人で占める。東京五輪に向けてさらなる増加が見込まれるため、客が店舗で気になった商品をアプリでスキャンすることで、帰国後に買うこともできるようにした。ナイキ・ジャパンでデジタル戦略を統括するキャシー・キタヤマ氏は「(店舗との連動で)集めたデータを商品デザインなどにも生かせる。究極の買い物アプリになるだろう」と期待を込めた。

キタヤマ氏は東京における消費者のデジタル化が他の都市より進んでいるとみる。今後はスマホやタブレットで足を採寸するサービスや、レジに並ばずにスマホで決済できるシステムなどデジタル技術の活用による利便性向上を図る。

(佐伯太朗)

[日経MJ 2019年9月18日付]

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