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消費増税と低価格志向で改装 ビッグ・エー東京・足立

日経MJ

2019/9/4付

通路幅を広げるなどで買い回りをしやすくした

ディスカウントストアのビッグ・エー(東京・板橋)は7月、東京都内に低価格業態の実験店を開業した。商品数や価格表示の種類を2~4割絞り、絶対的な安さや省人化を追求。一方で、通路幅を広げたり冷凍食品などを増やしたりすることで、働く女性を中心に新たな顧客に買い回りを楽しんでもらう。今秋の消費増税を前に消費者の節約志向が強まっており、選ばれる店作りを進めて生き残りを図る。

日暮里・舎人ライナー高野駅(東京・足立)から徒歩3分。住宅街の一角にビッグ・エー足立扇店がある。約10年前から店を構える一般的な店舗だが、7月27日に店内を一新する形で改装オープンした。

来店時の第一印象は通路が広いことだ。三浦弘社長は「通常の店舗より通路を最大40センチ広げた」と説明。強みの段ボールごと商品を並べる「ボックス陳列」は同じだが、通路に商品をはみ出して置いていないため広々と見える。来店客からは「売り場が明るくなった」との声が聞かれた。

売れ筋商品に絞り、何重にも重ねて陳列して品出しを減らす

従来店と比べ冷凍食品や非食品を拡充した。働く女性の増加を背景に、おいしさや使い勝手の良さで冷凍食品は重宝されている。実験店は冷凍食品の売り場を1.5~2倍に広げ商品数も増やした。手持ち扇風機といった小型家電や文具など食品以外の品ぞろえを充実させ、来店客の「ついで買い」を促す。

実験店の狙いについて、三浦氏は「1円でも安く提供し、消費者にその安さをしっかりと伝えるため」と語る。10月の消費増税を控え、小売り各社はセールやポイント還元などで低価格を訴求しようと工夫している。キャッシュレス決済を導入していないビッグ・エーは「消費者に他社と比べ常に安いと知ってもらう」ことに重きを置く。

実験店の商品数は2000品強。売り場面積は約490平方メートルと平均(約330平方メートル)より広いにもかかわらず、商品数は2割ほど減らした。ポテトチップスではカルビーや湖池屋など人気ブランドの定番商品に絞り、売り場を広げる代わりに安さにこだわる。価格表示の種類は69円や99円などと約4割絞った半面、文字のフォントをより大きくすることで価格を目立たせた。

低価格を実現するため省人化も追求する。実験店は常時2人の従業員で回すことを想定。一つの商品を何重にも重ねて置くことで品だしなどの無駄な作業を減らし、店舗全体の補充回数を1日1回に切り替えた。支払い部分を消費者が行う「セミセルフレジ」も導入し、従業員の生産性を高める。

実験店の現状について、三浦氏は「成果が見られる点もあるが課題も多い」と話す。仮説と検証を繰り返しながら、11月にも新店舗を出店する計画。中期的には埼玉県や東京都などで運営する既存店でも取り入れていくという。買い上げ点数や来店頻度を増やすことが当面の目標と言える。

消費者にとって商品数が多いことは選択肢の広がりにつながるが、逆に「この商品は本当に安いのか」という安さへの信頼感が低下している可能性もある。ビッグ・エーは強みの「安さ」について、価格や見せ方を工夫することで消費者の支持を得たい考えだ。

(原欣宏)

[日経MJ2019年9月4日付]

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